研究課題/領域番号 |
19K23783
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0704:神経科学、ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 旭川医科大学 (2020) 東邦大学 (2019) |
研究代表者 |
古部 瑛莉子 旭川医科大学, 医学部, 助教 (30845566)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | salt induced kinase 3 / 炎症 / 睡眠 / Salt-inducible kinase 3 / SIK3 / NREMSδ密度 / 脳内炎症 / リン酸化酵素 / 睡眠覚醒 / 神経回路 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、睡眠と覚醒およびNREMとREM睡眠の切り替えが脳の特定の神経細胞によって制御されることが明らかとなってきた。神経回路の研究は進展している一方で、睡眠と覚醒およびNREM睡眠とREM睡眠の必要量を規定するような眠りの恒常性維持機構はほとんど判明していない。そのような状況で、2016 年に新規睡眠制御分子としてリン酸化酵素SIK3が同定され、シナプス関連蛋白質のリン酸化を介して睡眠欲求やNREM睡眠量を調節している可能性が示された。本研究の目的は、SIK3が具体的にどの脳領域のどのような種類の神経細胞で機能し睡眠を制御するのかを解明することである。
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研究成果の概要 |
本研究では、マウスにグラム陰性菌の細胞壁を構成するLPSの脳室内投与を行い、炎症性の睡眠・覚醒異常を生じさせた際のSIK3の影響を検討した。 野生型マウスにLPSを脳室内投与した結果、覚醒時間が減少し、睡眠深度の指標であるNREMデルタが増加し、NREM睡眠時間の増加、REM睡眠の顕著な減少が見られた。一方で、SIK3のリン酸化機能を向上させたマウスではそれらの変化は減弱していた。免疫組織学検討の結果、SIK3を発現しているのはNeuN陽性の神経細胞であった。また、野生型マウスにLPSを脳室内投与した結果、視床下部外側野の神経細胞でのHDAC4核移行が抑制されることが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生体が細菌やウイルスに感染すると、サイトカインの産生を促進し、発熱や食欲抑制に加えてNREM睡眠の増加・REM睡眠の減少につながる。本研究で見られたNREM睡眠の増加やREM睡眠の減少、脳波の異常も脳内でのサイトカイン濃度の変化による影響を受けたものであることが考えられる。LPS脳室内投与によるLHでのSIK3下流に存在するHDAC4の活性化の抑制は、SIK3がオレキシン神経による覚醒・睡眠制御および炎症抑制経路に関わっている可能性を示唆している。
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