研究課題/領域番号 |
19K23787
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0704:神経科学、ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
松田 光司 国立遺伝学研究所, 新分野創造センター, 特任研究員 (40845228)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 視覚 / 前視蓋 / 神経回路 / ゼブラフィッシュ / オプティックフロー / カルシウムイメージング / 興奮性・抑制性 |
研究開始時の研究の概要 |
動物は自己の運動状況を知覚し、姿勢や進行方向を調節するため、オプティックフロー(自己運動に伴う視野全体の像の動き)を利用している。ゼブラフィッシュを用いたこれまでの研究により、前視蓋領域の様々な反応特性を持つ神経細胞が、階層的神経回路ネットワークを介し、オプティックフローの区別をしているという仮説が提唱された。しかし、その具体的なメカニズムや機能は未解明である。本研究では、分子遺伝学的アプローチにより、反応特性の異なるニューロンを特異的にラベルし、この仮説を実験的に検証する。オプティックフローを受け取った前視蓋がどのようにして適切な行動を生み出しているのか、その神経メカニズムの解明を目指す。
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研究成果の概要 |
視覚情報処理を司る前視蓋ニューロン間に階層的ネットワークが存在するのかを実験的に検証するため、異なる前視蓋ニューロンを特異的に標識し、視覚刺激に対する神経活動記録と形態解析を行った。その結果、前視蓋の腹側/側方領域に高次演算を必要とする反応パターンを示す2種類のニューロン群を発見した。この領域に存在するニューロンの多くがループ状の神経突起を持ち、一部のニューロンは視蓋・小脳・縦走堤に投射していた。これらの細胞の細胞体は方向選択性の網膜入力を受ける領域の近傍に位置したことから、これらの細胞は網膜からの方向選択性シグナルを受容し、それを下流脳領域へ伝達している可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
動物は、受容した視覚情報に応じて適切な行動をとる必要があるが、それを実現する神経回路基盤の全容は解明されていない。本研究により見出した前視蓋腹側/側方領域のニューロンは、両方の眼からの情報を統合していると考えられる。さらに、これらの前視蓋ニューロンは、運動制御に関与する下流脳領域へ視覚情報を伝達している可能性がある。今後、下流脳領域への投射様式のさらなる同定や視覚依存的行動における機能解析を行うことで、視覚情報処理から行動の発現に至る神経回路基盤の解明が進むことが期待される。
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