研究課題/領域番号 |
19K23820
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0802:生体の構造と機能およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
原田 一貴 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (60830734)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アルギニンバソプレシン / 生体イメージング / 超小型内視顕微鏡 / 蛍光タンパク質 / 蛍光タンパク質センサー / バソプレシン受容体 / てんかん / 社会行動 |
研究開始時の研究の概要 |
脳下垂体から分泌されるホルモンの一種アルギニンバソプレシン(arginine vasopressin: AVP)は、腎臓からの水の再吸収、概日リズムや社会行動に関わるホルモンである。AVPを感受する受容体には、V1aR、V1bR、V2Rがある。これらの受容体遺伝子を欠損したマウスはてんかん発作の強化や社会的行動の低下を示すが、その発症メカニズムは不明である。 そこで申請者は、ATP・cAMP・グルコースなどの細胞内シグナル分子可視化センサーをマウスの神経細胞に導入し、生きたマウスの脳内を直接観察する超小型内視顕微鏡を用いて、これらの症状の原因を解明する。
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研究成果の概要 |
アルギニンバソプレシンの受容体遺伝子欠損マウスは、てんかん発作や社会行動の低下症状を示すが、その発症機構は未解明である。そこで申請者は、細胞内の分子動態をリアルタイムに可視化できる蛍光タンパク質センサーと、行動中のマウスの神経活動を観察できる生体イメージング技術を組み合わせて解明を試みる。緑色乳酸センサー、緑色ピルビン酸センサー、赤色グルコースセンサーの開発に成功し、マウス脳におけるセンサー発現と深部観察用のレンズ装着に至っている。今後は、超小型内視顕微鏡を装着して、発作時の各分子の応答観察を行うことで、受容体遺伝子欠損マウスのニューロンおよびアストロサイトで動態異常を示す分子の特定を目指す。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
AVPの機能について、社会行動や概日リズム、血糖値制御への関与を示す研究が、近年国内外で数多く行われている。しかし、これまでに個体レベルの生細胞イメージングは行われていない。本研究は、AVP受容体欠損により生じる神経病態の分子レベルでの解析を目指すもので、原因分子の特定と治療方策に結びつく。ヒトの疾患研究レベルにおいても、血中AVP濃度は、子どもの自閉スペクトラム症の障害傾向との相関が示されている(Carson et al., PLoS ONE, 201)。そのため、AVPの中枢神経における詳細な生理作用の解明に成功すれば、精神疾患の治療法開発に貢献できる。
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