研究課題/領域番号 |
19K23821
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0802:生体の構造と機能およびその関連分野
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
室生 暁 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (30844360)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 解剖学 / MRI / 肛門管 / 直腸 / 平滑筋 / 骨盤底 / 縦走筋 |
研究開始時の研究の概要 |
MRIは肛門壁の筋層構造を詳細に描出できる。MRIでは縦走筋層に低信号域と高信号域の共在像が描出されるが、どのような解剖学的構造を反映しているか解明されていない。私たちはこれまでの研究成果から、消化管と骨盤底筋が空間的に近接する肛門管領域では平滑筋が骨格筋との位置関係や機能に応じて多様な構造を持つのではないか、またMRI所見に基づき、縦走筋層に性状の異なる平滑筋線維が共在するのではないかと考えた。本研究の目的は、肛門縦走筋層における平滑筋の構造を解剖学的手法によって解明することである。将来的には、最先端画像検査や内視鏡下手術の精度向上に必要な直腸肛門管の解剖学的基盤の確立を目ざす。
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研究成果の概要 |
本研究では、肛門管の壁を構成する筋層構造を肉眼解剖および免疫組織学的に解析した。研究の結果、これまで縦に走る一様な平滑筋線維から成ると考えられていた「縦走筋層」に、平滑筋線維の密性領域と疎性領域が共在していることが明らかになった。密性領域では平滑筋線維が束になって集合し、径1.0-1.5mm程度の円柱状構造を作っていた。その密性領域を内方および外方から囲むように平滑筋線維が疎に散在し、疎性領域を成していた。このように、これまで注目されてこなかった肛門管の平滑筋に形態の多様性を見出した。本研究の解剖学的知見によって肛門管MRIの詳細な読影が可能となり、直腸癌や痔瘻の術前後評価の向上が期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究結果から、肛門管の平滑筋は周囲構造との位置関係に基づいて多様な形態を成し、各平滑筋線維の機能発揮のために最適化されていることが示唆され、解剖学および筋の細胞生理学に新たな学術的知見を提供する。 さらに、本研究の知見はMRI像との対応関係で重要な意味を持つ。MRIは肛門壁の筋層構造を詳細に描出できるため、癌の浸潤や痔瘻の進展の評価に広く用いられている。特に、本研究の解析対象となった「縦走筋層」は直腸癌のステージ分類の基準となる層であり、また痔瘻の原発部位ともなる重要な構造である。本研究の解剖学的知見を基に肛門管MRIの詳細な読影が可能となり、直腸癌や痔瘻の術前後評価の向上が期待される。
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