研究課題/領域番号 |
19K23839
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0803:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
神谷 麻理 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 特任助教 (20844377)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 炎症性筋疾患 / 細胞死 / 筋傷害 / DAMPs / 多発性筋炎 |
研究開始時の研究の概要 |
多発性筋炎(PM)は自己免疫性の炎症性筋疾患であり、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)による筋傷害が病態の中心と考えられている。既存の免疫細胞を標的とする治療法では感染症などの副作用が問題となる一方で筋炎抑制効果が不十分である例が存在する現状から、我々はPMの病態における筋細胞の役割に注目した。CTLにより傷害され、細胞死に至った筋は様々な炎症介在因子を放出し更なる炎症を誘導すると考えられ、筋細胞死がPMの新たな治療標的となると考えたが、PMの筋細胞死機序は不明である。PMの筋細胞死機序と、その制御がもたらす効果を解明するために、培養細胞や動物モデル、そしてPM筋組織を用いた検証を行う。
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研究成果の概要 |
多発性筋炎(PM)患者の筋組織や、PMの培養細胞モデル、あるいはマウスモデルを用いた解析の結果、PMの筋細胞はネクロトーシスというプログラム細胞死に至ることが判明した。ネクロトーシスは炎症誘導性の細胞死と知られ、ネクロトーシスに至った細胞は様々な炎症介在因子を放出することが知られる。よって、筋細胞のネクロトーシスを抑えることが、PMの治療になるのではないかと考えた。そこで、PMのマウスモデルに対してネクロトーシスの阻害剤であるnecrostatin 1sを投与したところ、対照群と比較して、筋炎に伴うマウスの握力低下が抑制され、さらに筋における炎症の改善が認められた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多発性筋炎(PM)の既存治療は副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬であるが、これらは免疫細胞を標的とした治療であり、感染症を合併するほどの免疫抑制状態を誘導してすら筋炎を抑制できない例や、筋炎抑制に長期間を要し筋力低下が更に進行する例が存在することが臨床的問題であり、PMに対する免疫抑制療法の限界と考えざるを得ない。 我々は本研究において、筋の細胞死の制御が、PMの新たな治療戦略として期待されることを示した。 筋の細胞死を直接の標的とする治療は、既存治療とは全く異なる仕組みを介した治療であり、既存の治療で炎症が抑制できない症例や、治療開始後も筋力低下が更に進行する症例への有効性が期待できる。
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