研究課題/領域番号 |
19K23876
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高島 雄太 北海道大学, 大学病院, 助教 (90848764)
|
研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 肺癌 / DNA修復 / 非相同末端結合 / BET / 細胞周期 |
研究開始時の研究の概要 |
BET阻害薬がDNA2本鎖切断(DSB)の修復を阻害することでDNA傷害活性をもつ様々な薬剤の効果を増強することが報告されている。しかし、これらの先行研究が標的としているDSB修復機構は相同組換え(HR)である。BET阻害薬はもう一つのDSB修復機構である非相同末端結合機構(NHEJ)も抑制しうることが報告されているが、BET 阻害によるNHEJ阻害能が抗癌治療に応用できるかどうかについての検討はほとんどされていない。本研究では、WEE1阻害薬をはじめとしたM期にDSBを起こす薬剤を用いて、BET阻害によるNHEJ阻害を利用した新しい肺癌治療を開発する。
|
研究成果の概要 |
BET阻害剤とWEE1阻害剤の併用は非小細胞肺癌細胞株において相乗的な抗腫瘍効果をもたらした。BET阻害によって複数のNHEJ機構関連遺伝子の発現が抑制され、NHEJ機構活性が低下した。BET阻害はG2/Mチェックポイント関連遺伝子であるMYT1の発現を抑制しており、BET阻害剤とWEE1阻害剤を併用することでDNA修復が不十分な細胞が大量にM期へのエントリーすることとなり、最終的的には分裂期細胞死が誘導されていた。本研究はBET阻害剤とWEE1阻害剤の併用効果を示した初めての報告である。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
過去の報告はBET阻害によるHR機構抑制を対象としたものがほとんどだが、本研究ではもう一つのDNA2本鎖切断修復機構であるNHEJ機構を対象とした。BET阻害によるNHEJ阻害を抗癌治療に応用できれば、幅広いDNA傷害性薬剤の作用を増強することが期待でき、新たな抗癌治療の開発につながる。非小細胞肺癌細胞を用いてBET阻害によるNHEJ機構抑制能を明らかにし、機序も検討した本研究は今後の非小細胞肺癌の治療開発の一助となる可能性がある。
|