研究課題/領域番号 |
19K23883
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
的場 久典 信州大学, 医学部, 特任助教 (10849277)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | AhR / 炎症性発癌 / B. fragilis (ETBF) / ETBF / 腸内細菌叢 / Wnt/beta-catenin pathway |
研究開始時の研究の概要 |
Aryl hydrocarbon receptor(AhR)は、ダイオキシン類などの芳香族炭化水素の受容体として働き、核内に移行して転写因子として機能する分子である。近年、AhRノックアウトマウスの回盲部に大腸炎を伴いながら腫瘍が発生することが報告された。本研究は、この腫瘍発生に対する腸内細菌叢の影響、特にEnterotoxigenic Bacteroides fragilisの腸管感染が腫瘍発生を促進するか否かの解析を目的とする。本研究により腸管の炎症性発癌におけるAhRと腸内細菌との関連を解明し、ヒトの炎症性腸疾患からの発癌における腸内細菌叢の制御による予防の糸口となることが期待される。
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研究成果の概要 |
本研究では、AhRノックアウト(KO)マウスの回盲部における腫瘍発生が、Enterotoxigenic Bacteroides fragilis (ETBF) の投与により促進されるか否かについての解析を行った。ETBF投与により、AhR KOマウスの死亡率は上昇した。また先行研究と異なりETBF非投与のAhR KOマウスでは病変が発生せず、発生率が低下していたが、ETBF投与のAhR KOマウスではその2-3割程度に顕微鏡的および肉眼的な病変を認めた。ETBF投与は腸管の炎症反応を惹起しマウスの死亡率を上昇させるが、同時にその炎症反応により低下した腫瘍発生率を回復させることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、腸内細菌叢の変化などの原因によりAhR KOマウスの炎症に対する感受性や腫瘍の発生率がこれまでの結果と比較して低下していたが、ETBFの投与がこの低下した炎症感受性や腫瘍発生を回復・促進させることが示唆された。AhRがヒトの炎症性腸疾患の感受性遺伝子の1つであることを考慮すると、本研究がヒトの炎症性腸疾患からの発癌における特定の遺伝子変異と腸内細菌叢との関連性の解明や、腸内細菌叢の制御による発癌予防の糸口となることが期待される。
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