研究課題/領域番号 |
19K23897
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
横江 隆道 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (90649956)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | HOX遺伝子 / Luminal乳癌 / クラスタリング / 予後予測 / 共変動解析 / 共変動 / HOXB9 / Wnt経路 / 乳癌 / 予後予測モデル |
研究開始時の研究の概要 |
ホメオボックス(HOX)遺伝子群は胎生期におけるマスターレギュレータであると共に、近年では様々な悪性腫瘍での異常発現が注目されている。本研究では、乳癌細胞における全38種類のHOX遺伝子の発現解析を行い、術後補助化学療法の適応判断が難しいLuminal B乳癌の予後を、HOX遺伝子群の連動発現パターンが規定することを確認する。また、HOX遺伝子と連動発現するWnt経路とCDX遺伝子の解析を元に、予後の悪い Luminal B乳癌に対してWnt経路不活化剤の効果をIn vitroで検証する。乳癌悪性化メカニズムの解明と、新たな予後予測因子の確立および創薬開発への可能性が拓かれることが予想される。
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研究成果の概要 |
HOX遺伝子群は胎生期の発生を司るマスターレギュレーターであるが、悪性腫瘍の発症や進展に関わっていることが近年報告された。共変動するHOX遺伝子群の全体の働きは未だ解明されていない。本研究では、Luminal乳癌におけるHOX遺伝子群の発現パターンと、Wntとの関係、および臨床の予後との関係について明らかにすることを目的とした。公開データの解析から、Luminal乳癌ではHOX-C10遺伝子が中心となって予後を分けていることが分かった。また、HOXシグネチャーによる予後予測アルゴリズムを用いることで正確にLuminal乳癌の予後を予測できることが示された(感度61%、特異度64%)。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
過去のHOX遺伝子と乳癌に関する報告は、個々のHOX遺伝子に注目した検討に留まっている。本研究ではHOX遺伝子全体に着目し、乳癌の臨床病理学的データと統合して網羅的な解析を行った点で、学術的貢献度が高いと言える。ホルモン陽性乳癌の予後予測は補助化学療法の施行の判断に直結するため、OncotypeDX等の様々な多遺伝子アッセイが商用化されているが、いずれも乳癌の全遺伝子発現をクラスター分類して予後と相関させている。本研究では、一貫した機能を持つと考えられる単一のHOX遺伝子ファミリーの機能解析を通じて予後予測を行っており、他の多遺伝子アッセイとは異なる新しい方法で臨床に貢献する研究となった。
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