研究課題/領域番号 |
19K23904
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
重田 昌吾 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (90842633)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 卵巣癌 / 明細胞癌 / 個別化医療 / エピゲノム / 卵巣明細胞癌 / 癌オルガノイド / ブロモドメイン / オルガノイド |
研究開始時の研究の概要 |
卵巣明細胞癌は日本人で高頻度にみられる化学療法抵抗性サブタイプである。研究者は患者由来の新規卵巣癌細胞を用いた予備実験により、明細胞癌ではエピジェネティクス関連分子の発現抑制が高い抗腫瘍効果を誘導する事、中でもヒストンのアセチル化リシン認識分子であるブロモドメインタンパク質(BRP)が有望な治療標的である可能性を見出している。本研究ではこの知見を発展させ、 ①卵巣明細胞癌オルガノイドモデルを応用したBRP機能抑制による抗腫瘍効果の検証 ②マウスxenograftモデルによるBRP阻害剤の有用性、安全性についての前臨床試験 を行い、新規個別化医療へ向けたエビデンスの確立を目標とする。
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研究成果の概要 |
治療抵抗性卵巣癌である卵巣明細胞癌についてエピゲノム領域を中心に治療標的候補分子を探索した。その結果、BETタンパク質BRD2/BRD3の機能抑制が著明に癌の増殖を抑制することを見出した。また、BET阻害剤と併用で相乗的な治療効果が期待できる薬剤の組み合わせを同定した。さらに、CHD4の機能を抑制すると卵巣癌治療の中心であるプラチナ製剤への感受性が高まることを発見した。 本研究では癌本来の特徴をより忠実に再現可能な実験モデルである卵巣癌オルガノイドモデルの作成も試み、短期的な卵巣癌オルガノイド培養に成功した。安定維持可能となったのち、将来的にオルガノイドでも治療効果を検証する予定である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
卵巣明細胞癌は本邦で発症頻度が高い疾患であるが、卵巣癌で最も高頻度に見られる高異型度漿液性癌と比較して卵巣癌治療の第一選択薬であるプラチナ製剤に抵抗性を示すことが多い。卵巣癌で使用可能となったPARP阻害剤による治療効果も限定的である可能性が示唆されている。 本研究では卵巣明細胞癌で特に有効と考えられる新規治療標的タンパク質の同定に成功し、有効な薬剤の組み合わせについても検証を行った。同定したタンパク質の一部については阻害剤が開発され、ヒトでの臨床試験が進行中のものも含まれている。本研究結果は組織型に応じた治療戦略が確立されていない卵巣癌において新たな個別化医療の可能性を示唆するものである。
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