研究課題/領域番号 |
19K23916
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
加藤 有加 岡山大学, 大学病院, 講師 (50544904)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ROS1融合遺伝子 / クリゾチニブ / ロルラチニブ / ROS1 / クリゾチニブ耐性 / AXL / 非小細胞肺癌 |
研究開始時の研究の概要 |
ROS1融合遺伝子陽性肺癌に対してクリゾチニブは著明な有効性を示す一方、暫くすると薬剤耐性を獲得してしまう。我々は、EGFR及びAXLがクリゾチニブに対する耐性獲得に関与していること、及びROS1G2032Rの二次耐性変異の阻害効果とAXL阻害効果を併せ持つマルチキナーゼ阻害薬であるカボザンチニブとEGFR-TKIの併用療法の有効性を基礎的に示した。当該基礎研究結果を踏まえ、新規のROS1陽性肺癌細胞株及び患者検体を包括的に遺伝子解析し、ROS1陽性肺癌におけるAXL遺伝子の重要性の確認、並びに治癒を目指したカボザンチニブとEGFR-TKI併用療法の治療戦略を基礎的・臨床的にさらに発展させる。
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研究成果の概要 |
ROS1融合遺伝子陽性肺癌患者のクリゾチニブ(ROS1阻害剤)の投与前、投与後6カ月後の胸水から、それぞれ細胞株ABC-26(親株)、ABC-20(耐性株)を樹立した。MTT assay等よりABC-20がクリゾチニブ耐性であることを確認した(IC50; 0.767μM)。ROS1阻害剤のうちロルラチニブは、ABC-20及びABC-26ともに感受性が高く維持されていた(IC50; 0.008μM、0.0002μM)。これらの結果より、耐性株であるABC-20を用いたXenograft modelでは、クリゾチニブによる腫瘍縮小効果は得られなかったがロルラチニブには強い腫瘍縮小効果が得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の結果、第二世代ROS1阻害剤であるロルラチニブがクリゾチニブ耐性を克服し、強い腫瘍縮小効果を得ることが可能であることが示唆された。ROS1肺癌患者は、非喫煙で若年者に多く社会的にも重要な疾患群である。しかし、免疫チェックポイント阻害剤の効果も乏しいことが報告されており、治療方法が限定されていることから、治療戦略が非常に重要である。本研究結果から、初回治療に用いたクリゾチニブの効果が消失した後に、ロルラチニブを使用することでより強い腫瘍縮小効果が得られ、更には延命効果が期待されたことは社会的意義が非常に高いと考える。
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