研究課題/領域番号 |
19K23917
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
財津 瑛子 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (50843497)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Colon cancer / Chemoresistance / PTEN / Topoisomerase Ⅰ / AKT pathway / Topisomerase Ⅰ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は大腸癌細胞株で認めたPTENの低発現によるTopoI阻害剤の耐性が種々の癌細胞株でも同様に認める現象なのか、臨床検体でどれくらい重要な因子となっているかを明らかにすることである。本研究の独自性は抗癌剤の耐性機序としてtopoIの分解に着目し、分解の指標としてtopo-pSer10を用いることである。本研究の成果によってはPTENやTopo-pSer10がtopoI阻害剤の感受性バイオマーカーへ応用できる可能性を期待できる。
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研究成果の概要 |
マウス由来のC2細胞を用いPTENの低発現によりtopoIの分解が亢進していることを確認した。さらに蛍光免疫染色にてDNA-PKcsが増加し、topoIの分解産物も増加していることからPTENを介したtopoIの分解を強く示唆された。ヒトの大腸癌細胞株における検討でも同様にtopoIの分解産物が多い細胞株はtopoI阻害薬に耐性を示すことが分かった。臨床検体における免疫組織化学染色においてイリノテカンを投与された、大腸癌臨床検体をtopoIのリン酸化タンパク(topoI-pS10陽性)で染色し、リン酸化タンパクが陰性の症例ではイリノテカンの含むレジメンの投与コース数が多いことを確認した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
トポイソメラーゼ阻害薬に分類されるイリノテカンは切除不能な進行再発大腸癌の長期コントロールや局所進行直腸癌の縮小を狙った術前治療など大腸・直腸癌においては重要な役割を果たす。本研究によりトポイソメラーゼ阻害薬の耐性メカニズムの一因によく知られている、がん抑制遺伝子PTENが関与していることが分かった。また臨床検体を用いた免疫染色において、トポイソメラーゼの分解産物の発現とイリノテカンの耐性に関与がある可能性が示唆された。将来的に抗癌剤の治療効果を推測するバイオマーカーの開発や耐性を回避する新規の薬剤の開発のきっかけになる点で学術的、社会的意義があると考える。
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