研究課題/領域番号 |
19K23920
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山本 隆広 熊本大学, 病院, 医員 (30849089)
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研究期間 (年度) |
2023-02-26 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | エピトランスクリプトミクス / 膠芽腫 / RNA修飾 / 遺伝子翻訳 / TRIT1 / tRNA / Hippo経路 / セレノシステイン |
研究開始時の研究の概要 |
膠芽腫は予後不良の脳腫瘍である。2016年のWHO脳腫瘍分類改定以降は遺伝子診断が重要となったことで、遺伝子調節機構をターゲットとする治療法の開発が期待されている。本研究代表者はこれまでの研究でミトコンドリアtRNA修飾酵素の膠芽腫における遺伝子「翻訳」調節機構を解明し、膠芽腫幹細胞の幹細胞性維持に重要であることを明らかにした。膠芽腫研究では遺伝子の「発現」や「転写」調節機構の研究は進んでいるものの、「翻訳」に関する研究は遅れている。これまでの研究成果から遺伝子「翻訳」の領域が新たな治療ターゲットとなりうると考え、本研究ではtRNA修飾酵素の膠芽腫における働きの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では最も予後が悪い脳腫瘍である膠芽腫を対象として研究を行っている。膠芽腫研究ではDNA修飾や翻訳後修飾の研究と比較し、転写後修飾、翻訳調節機構に関する研究はあまり進んでいない。本研究課題の代表研究者はこれまでの研究成果から膠芽腫における遺伝子翻訳の領域を明らかとすることが、新たな治療アプローチを創造しうると考え、tRNA修飾と膠芽腫の関連に着目し、研究を行っている。本研究期間は2019-2020年度であったが、本研究期間の途中で研究代表者が海外に研究留学を行った。このため、本研究課題は一時中断の措置をとっていた。2023年10月に代表研究者が帰国したのを受け、速やかに本研究課題を再開した。再開後は本研究中断前に使用していたshRNA(shTRIT1)を再度使用し、ノックダウンが同様に作用するか、またノックダウンした際に細胞増殖が制限されるかの検証を行った。結果、preliminary data と同様の結果が得られ、再現性のある現象であることが確認された。TRIT1はセレノシステインtRNAを修飾することが知られていることから、研究中断前にセレノプロテインの遺伝子翻訳(タンパク合成)を調べたところ、セレノプロテインW(SEPW1)のタンパク量減少を認めていた。今回、大規模患者データの解析を行い、SEPW1の発現量と膠芽腫患者の予後を調べたところSEPW1発現が低い患者のほうが予後が良いことが明らかとなった。今後はSEPW1の膠芽腫細胞内での作用およびtRNA修飾との関連を調査するべくSEPW1のノックダウンを行い検証を進めている。2023年10月からの再開であったため、本研究期間は翌年の2024年度までとなる。今後はこれまで得た結果をもとにin vivoの実験を加速させ、論文化を目指す予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が海外に研究留学していたため、本研究課題は一時休止の措置をとっていた。このため、当初の計画と比較すると進捗がやや遅れている。2023年10月帰国後は速やかに本研究課題を再開した。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroの実験を主体とした研究に加え、TCGAの悪性脳腫瘍患者データの解析を行う。加えてGO解析やネットワーク解析を行い、tRNA修飾酵素が悪性脳腫瘍増殖に与える影響とメカニズムの推測を行うことで探索の方向性をある程度つけながら本研究計画に記した研究を遂行する。これにより網羅的な実験を必要最低限とし、今後の研究の推進をはかる。
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