研究課題/領域番号 |
19K23929
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
山盛 智子 (森田智子) 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 特任研究員 (10767750)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | がん / 染色体不安定性 / 細胞競合 / 癌 / 環境適応 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、染色体不安定性に関連する因子として細胞周期チェックポイント・有糸分裂制御・DNA修復機構が明らかにされてきており、これらの機能不全を標的とした治療法の開発が国内外で進められている。しかしながら、癌細胞が遺伝的多様性を活用して環境に適応する機構は解明されていない。染色体不安定性に順応した癌細胞は、高度な環境適応能力を備え細胞競合に打ち勝っていると考えられ、その機構の解明は、癌の進展や治療抵抗性を理解し、新たな癌治療法を開発する上で極めて重要と思われる。本研究では、癌細胞の環境適応能力の解明における重要な「問い」である遺伝的多様性を有する癌細胞間の競合勝者決定機構の解明に取り組む。
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研究成果の概要 |
本研究実施期間中に染色体不安定順応性モデルとして異数体化細胞を樹立した。 異数体化細胞は樹立過程で約90%の細胞が死滅し、異数体化には大きな細胞ストレスを伴うことを示した。約10%の生存細胞は主に4倍体の核型で存在し、親細胞と同等の増殖能を有する。異数体化細胞は親細胞と比較して、老化細胞の特徴的な形態を示し、SA-b-galactosidaseの陽性率も高かった。また、特定の条件下で異数体化細胞は顕著なATP量の減少を示した。各種オミックス解析の結果から、異数体化細胞は、遺伝子変異や転写活性化領域の構造変化は起こさずに、アミノ酸・脂質代謝経路を変化させることで環境に適応していると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
研究対象はがん細胞が持つ特徴の一つ、染色体不安定性です。 染色体不安定性は細胞にとってストレスが大きい現象で、約9割の細胞が死んでしまう事を明らかにしました。一方、約10%の細胞はストレスを克服して生き残り、増殖します。生き残った細胞が持つ特徴や個性を特定し、がん治療の標的にすることを目的としています。 今回の研究成果は染色体不安定性を持つ異数体化細胞が、親細胞と同じように増殖する一方、細胞老化の特徴を併せ持つことを明らかにしました。また、特定の条件下では細胞が脆弱性を示すことが分かりました。各解析結果を統合すると、異数体化細胞は代謝経路を変化させることで周囲の環境に適応していると推測できます。
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