研究課題/領域番号 |
19K23930
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 (2020, 2022) 国立研究開発法人国立がん研究センター (2019) |
研究代表者 |
藤井 昌学 岡山大学, 大学病院, 助教 (30641758)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | EGFR遺伝子変異 / β-catenin経路 / Drug-tolerant cells / EGFR肺がん / Drug-tolerant persisters / オシメルチニブ / β-catenin / EGFR遺伝子変異陽性肺癌 / EGFR肺癌 |
研究開始時の研究の概要 |
EGFR遺伝子に活性型変異を有する肺腺癌において、EGFR-TKIに対する耐性克服は臨床的に重要な課題である。第一世代、第二世代のEGFR-TKI耐性機構としての二次変異T790M、第三世代EGFR-TKIの耐性機構としてのMet増幅、C797Sが明らかにされ、それらに対する治療法の開発が進められている。これらはgeneticな耐性獲得後の確立された新たなシグナル系に対する分子標的治療の開発であるが、これまでの臨床試験の結果を鑑みるに、さらなる薬剤耐性を生じ、根本的な治療となり得ない。本研究では薬剤耐性獲得前のDTPsが如何に形成されるかを明らかにし、新たな治療法創出を目的としている。
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研究実績の概要 |
上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子に活性型変異を有する肺腺癌に対してEGFR-TKIが奏効する。しかし、奏効した症例もほぼ例外なく耐性を獲得することから新た な治療アプローチの開発は必須である。申請者は、新たなアプローチとして耐性出現前のdrug-tolerant persisters(DTPs)の形成阻害に着目してきた。我々は すでに、β-cateninがEGFR遺伝子変異陽性肺癌において発癌に重要であること(Nakayama,S.et al,2014)を示しているが、β-cateninの制御がEGFR-TKIの耐性 にも関与することをマウスモデルを用いて検証を行った。また最近の研究にて抗アポトーシス遺伝子BCL2L1の遺伝子産物であるBCL-XLはDTPsのkey playerである ことが示唆されている。実際に、申請者らが作製したEGFR肺癌マウスモデルにおいて条件的にBCL2L1をノックアウトすることによりEGFR-TKIの耐性獲得は認めら れていないことを確認したが、実際にβ-cateninのコンディショナルノックアウトマウスにおいてもBCL-XLの発現が低下していることを確認した。また細胞株の 実験にて、β-catenin経路の阻害がDTP形成阻害することを確認し、さらにSingle cell 解析を行うことで、β-catenin経路が耐性獲得に寄与することを明らか にした(Kashima Y, Fujii M, et al., Single-cell analyses reveal diverse mechanisms of resistance to EGFR tyrosine kinase inhibitors in lung cancer. Cancer Res. 2021)。現在、さらに欧文誌に投稿しており、再投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
欧文誌に再投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
細胞レベルの実験においては、今回同定したdrug-tolerant persisters(DTPs)に寄与する転写因子とクロマチン上での転写制御因子等との関連を探索し、シグナル系の全容を明らかにしたい。また、現在、β-catenin経路と微小環境との関連をつなぐ因子としてのエクソソームに注目しており、実際にエクソソームのプロファイルによって微小環境に与える影響が異なることが示唆するデータを認めており、さらに詳細を明らかにする。
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