研究課題/領域番号 |
19K23944
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
吉田 尚史 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (00846321)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 循環器疾患 / 腸内細菌 / リポ多糖 / 動脈硬化 / lipid A / 質量分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、以下の2つの目標を達成する。 1. 質量分析計を用いて、lipid Aのアシル基の数(=炎症惹起能、質)を反映した、生体試料中LPSの新規定量法の基盤を確立する。 2. 腸管に存在する種々のLPSがどのように炎症起点となっているのかを解明する。 従来、質量で語られていたLPSであるが、その構造と炎症惹起能に着目した新たな定量法を質量分析計を用いて確立することで、これまでのLPSによる慢性炎症の概念を大きく覆す、独創的かつ汎用性・発展性のある挑戦的な研究としたい。慢性炎症性疾患における炎症の起点としての腸内細菌叢由来LPSの概念を確立し、将来、新たな抗炎症治療法の提案に繋げたい。
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研究成果の概要 |
我々は腸内細菌叢の異常が循環器疾患発症にどのように寄与しているのかについて、腸内細菌由来のリポ多糖に着目して検討を行った。結果、リポ多糖の構造は腸内細菌種により異なる事、その構造の差異がTLR4を介した炎症惹起能を規定する事、そして循環器疾患患者の腸内細菌では非循環器疾患患者の腸内細菌に比して炎症惹起能が高いリポ多糖を持つ腸内細菌が多い事、これにより循環器疾患患者の腸内細菌由来リポ多糖値(=糞便リポ多糖値)は非循環器疾患患者より高値である事、を明らかとした。さらに炎症惹起能が高いリポ多糖を動脈硬化モデルマウスに腹腔内投与すると、動脈硬化が加速される事も明らかとした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで我々は、循環器疾患患者における特徴的な腸内細菌叢を明らかとしてきた。しかしこの腸内細菌叢の偏倚が、どのように循環器疾患の発症、進展に寄与しているのかについては未解明の部分が残されていた。本研究成果により、循環器疾患患者の腸内細菌由来の炎症惹起能の高いリポ多糖が、循環器疾患の発症、進展に関与している事が示唆された。この事から腸内細菌と循環器疾患を繋ぐ機序の一端が解明され、今後腸内細菌由来リポ多糖に着目した、新たな循環器疾患の予防、治療法の開発が期待される。
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