研究課題/領域番号 |
19K23951
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
小田桐 直志 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (10623241)
|
研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 肝星細胞 / 細胞老化 / 老化関連分泌表現型 / 肝がん / 肝硬変 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、肝星細胞の老化に伴って分泌される液性因子が、肝がんの病態進行に寄与することが報告されているが、ヒト慢性肝疾患における老化肝星細胞の実態やその生理的意義については不明な点が多い。本研究は、ヒト肝星細胞の老化関連分泌因子に着目し、肝がんの病態における、その生理的意義を解明することを目的としている。老化肝星細胞と肝がんを結ぶ機序を明らかにすることで、肝がんに対する新規機序の治療薬開発へとつながる知見を得ることを目指すとともに、ヒト肝組織切片における老化肝星細胞の識別法を探索し、その分布や肝がん発症との相関を検証することで、C型肝炎治癒後肝発がん予測への有用性を検証する。
|
研究成果の概要 |
老化肝星細胞は肝線維化の進行に抑制的な役割を果たすと考えられているが、その特徴については不明な点が多い。TGFβは肝星細胞の活性化を引き起こし、肝線維化進展において重要な増殖因子として知られる。老化肝星細胞の表現型変化の機序としてTGFβに対する反応性の低下が関与しているのではないかと考えた。老化肝星細胞ではSMAD4蛋白量が低下しており、TGFβに誘導されるリン酸化SMAD2/3の核内移行が減弱していることを確認した。さらに、老化肝星細胞におけるSMAD4蛋白の低下は、ERK1/2の亢進に伴うmiR-34aの発現増加によって引き起こされていることが分かった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肝硬変や肝がんはあらゆる原因による慢性肝炎の終末像であり、その治療法の開発は健康上の重要な課題である。また、加齢に伴って肝硬変や肝がんの発症リスクが増加することも知られている。加齢に伴う肝硬変・肝がん発症の分子機序や、その過程における老化肝星細胞の役割などについては不明な点が多い。 TGFβは肝線維化進行に重要な役割を果たすサイトカインの一つであるが、本研究では肝星細胞が細胞老化を起こすにつれて、TGFβに対する反応性が低下することを分子機序とともに示した。肝星細胞に対する細胞老化の誘導は肝線維化治療につながる可能性が示唆されており、更なる研究が必要である。
|