研究課題/領域番号 |
19K23961
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小池 佑佳 新潟大学, 脳研究所, 助教 (60844488)
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研究期間 (年度) |
2023-02-26 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / TDP-43 / DNAメチル化 / 加齢 / 運動野 / スプライシング / DNAメチル化修飾 / 自己調節機構 / 選択的スプライシング / TARDBP |
研究開始時の研究の概要 |
孤発性筋萎縮性側索硬化症 (SALS) 患者の運動神経細胞では、核蛋白であるTDP-43が細胞質に蓄積する。TDP-43の発現量は、TDP-43をコードするTARDBP 3’UTRの選択的スプライシングにより、厳密に自己調節される。申請者は、TARDBP 3’UTRのDNAメチル化状態の変化が、選択的スプライシングを介し、TARDBPの発現量を規定する、と仮説を立てた。これを立証するために、ヒト培養細胞を用いた選択的メチル化状態操作によるスプライシング変動の検討、SALSを含むヒト剖検脳組織を用いたDNAメチル化状態の詳細な解析を行い、SALSの分子病態へのDNAメチル化の寄与を明らかにする。
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研究成果の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、核蛋白TDP-43の量と分布の異常が病態に関与する。本研究では、以下のことが明らかにした: 1)TDP-43量の自己調節領域の選択的脱メチル化により、TDP-43量が増加する。2)ヒト運動野におけるTDP-43自己調節領域の脱メチル化は、加齢とともにTDP-43量を増加させる。3)運動野におけるTDP-43自己調節領域のメチル化状態は、ALSの発症年齢と相関する。本研究により、加齢に伴うDNA脱メチル化によって、TDP-43量が自己調節される分子機序を明らかにした。申請者は、本研究成果をCommun Biol誌に報告した(Koike et al. 2021)。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)をはじめとする神経変性疾患は、慢性進行性の経過をたどり、患者の生活の質を著しく低下させる。そのため、早期診断のためのバイオマーカーや根本的治療戦略の開発が強く望まれる。加えて、神経変性疾患の最大の発症リスクは、加齢であり、高齢化社会において、その制御は重要な課題である。しかし、加齢がALSや神経変性疾患の発症に寄与する機序は明らかでない。この機序の解明は、ALSや神経変性疾患発症のリスク制御、治療標的の開発に繋がる。本研究では、TDP-43の量調節の観点から、加齢と孤発性ALS発症を結ぶ分子機序の一端を明らかにし、今後のALS病態研究を展開していく上での土台となる。
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