研究課題
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本研究は、患者由来肺癌細胞を樹立する技術をと、近年神経科学の分野で発達した生体内イメージング技術を融合させ、分子標的治療の初期に癌細胞の一部が分子標的薬治療から逃避し生存する現象を可視化し、克服治療を開発することを目的とした学際的研究である。これにより、分子標的薬からの逃避を標的とした新たな治療手法を提案し、薬剤により肺癌根治を目指す治療開発が期待できる。
切除不能な肺癌が薬物治療で根治することはない。効果の高い分子標的薬治療でも、癌細胞は一部が生き残り(初期生存)、いずれ増殖し病勢が再燃する(薬剤耐性)。本研究では患者の癌細胞を大量培養する手法 を用いて、ALK陽性肺癌患者3名の癌細胞と、ALK陽性培養細胞H2228をマルチオミックス解析でスクリーニングし、初期生存規定因子を探索し、YAP1を同定した。本研究が予想より早く進んだことで、本研究に含まれていた生体内イメージングを発展させ、転移性脳腫瘍を生体内で観察できるモデルを確立する試みを開始し、系のプロトタイプを完成させるに至った。次の研究課題によってさらに発展させていく計画である。
肺癌の薬剤耐性の研究は盛んに行われてきたが、初期生存の研究は少なく、メカニズムは不明である。完全寛解を目指した集中的な治療法は開発されておらず、進行肺癌に対する薬物治療は、数十年前から緩和化学療法と位置づけられている。本研究は、ALK陽性肺癌の根治を目指した多剤併用療法を検討した最初の研究である。この成果をもとに薬剤開発が進めば、薬によって根治を目指した治療を開発できる可能性があり、その社会的な意義は大きい。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件) 備考 (1件)
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https://www.med.nagoya-u.ac.jp/cel-bio/research/679.html