研究課題
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炎症の関連する消化器疾患である,炎症性腸疾患が急増しているが,完全な治療法は確立されておらず,消化器疾患領域の重要な課題となっている.間葉系幹細胞(MSC)は,炎症修飾作用を有することが知られている.このため,炎症修飾効果を有するMSCを用いる炎症性腸疾患治療への応用の可能性が示唆されている.本研究では,炎症性腸疾患モデルを用いiPS細胞からのMSCへの分化誘導,培養とiPS由来MSCの炎症性腸疾患に対する治療効果および炎症修飾機序の詳細解明を目的とする.本研究の発展は,炎症性腸疾患に対するiPS細胞を用いる治療のトランスレーショナルリサーチの基盤となる.
炎症が関与する消化器疾患として,炎症性腸疾患が知られ,近年本邦においても増加している.一方で,治療としては抗炎症作用を期待し生物学的製剤が開発され,一定の効果を認めているものの,臨床的改善率は5割前後にとどまり,重篤な副作用のリスクもあるため,安全で効果の高い新しい治療法の開発が重要な課題となっている.間葉系間質細胞群に含まれる間葉系幹細胞(MSC)は,多分化能に加え,炎症修飾作用を有することが知られている.このため,炎症修飾効果を有するMSCを用いる炎症性腸疾患治療への応用の可能性が示唆されてきた.本研究は,MSCを用いた炎症性腸疾患に対する新規治療確立に向けた基盤の形成を目的とした。
間葉系幹細胞(MSC)の炎症性腸疾患に対する治療効果を確認した.さらに均一な細胞の安定的な供給を目的としてiPS細胞からMSCへの分化誘導と培養を確立した.同様に炎症が疾患を惹起する非アルコール性脂肪肝炎モデルマウスを用い,MSCが肝臓の間質の細胞に対し,抑制的に働くことにより,間質細胞を介した実質細胞障害を回避する新たな機序の詳細を解明し,第107回日本消化器病学会総会の主題演題として報告した.現在は以上の成果を踏まえ,炎症性腸疾患モデルマウスの腸管において間質細胞を介した腸管炎症の軽減機序の解析を行っており,MSCを用いた炎症性腸疾患に対する新規治療確立に向けた基盤の形成が期待される。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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