研究課題
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脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の発生率は世界的に10万人当たり9.1人であり、発症後30日以内の死亡率は45%と非常に高い。くも膜下出血患者の30%は自立生活が困難であり、社会および医療経済への影響は大きい。現在、未破裂脳動脈瘤に対する破裂予防は手術以外の方策は確立されておらず、新たに薬物治療が切望されている。本研究では、エフェロサイトーシス(アポトーシス細胞除去機構)に着目し、脳動脈瘤破裂との関連性を調べる。また、エフェロサイトーシスの改善が脳動脈瘤破裂予防に寄与することを明らかにし、薬物による治療標的としての可能性を探求する。
新規実験計画の立案、実行を行った。遺伝子操作によるエフェロサイトーシス不全を起こしたマウス(ノックアウトマウス)では有意に脳動脈瘤破裂が増加していた。エフェロサイトーシス不全は脳動脈瘤破裂を増加させることが示せた。今後はヒトおよび動物の検体を用いてエフェロサイトーシスおよびその阻害因子、促進因子を同定し、背景にある分子機構を解明する予定である。
脳動脈瘤は破裂するとくも膜下出血をきたす。治療には手術しかなく、薬物による破裂予防は確立されていない。破裂に至る機序は明らかにすることで、将来的に薬物療法を確立出来る可能性がある。エフェロサイトーシスは細胞死の中でもアポトーシスを起こした細胞を処理する機構である。この死細胞除去機構の異常により、脳動脈瘤破裂を促進させる可能性があると考えた。もし、この仮説が証明できれば、脳動脈瘤を薬物的に治療する方法の一つとなり得る。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Neurosurgery Open
巻: 1 号: 3 ページ: 1-9
10.1093/neuopn/okaa007