研究課題/領域番号 |
19K24048
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0906:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
片岡 恒 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90849027)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | PGC-1α / 低栄養 / 代謝 / 低酸素 / 子宮内膜症 |
研究開始時の研究の概要 |
子宮内膜症の発症・進展機序はいまだ不明な点が多い。我々はこれまでに転写共役因子であるPGC-1αが子宮内膜症における細胞の増殖やエストロゲンの異常産生、局所の炎症惹起、抗アポトーシスの獲得など様々な病態形成に重要な役割を果たすことを明らかにしてきた。さらに病巣局所で異常産生されているTNF-αがさらにPGC-1αを誘導することを明らかにし、内分泌-炎症のクロストークの存在について示した。 本研究ではPGC-1αが相互作用を示すとされる核内受容体の同定とその複合体が及ぼすシグナル伝達経路を明らかにすることで、内分泌・炎症の両側面から病巣進展を制御しうる新たな治療戦略の分子基盤を確立させる。
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研究成果の概要 |
われわれは子宮内膜症の病態形成や増悪に関わるPGC-1αに着目してきた。PGC-1αが作用を示すRXR受容体はPPAR受容体などと共役するが、子宮内膜症においてはRXRはホモダイマー、またモノマーとして働く可能性があることを明らかにした。またPGC-1αは局所の低酸素や低栄養環境でその働きを強め、糖やエネルギー代謝に影響を及ぼして病態の進展に関わる可能性を示した。マウスを用いた実験ではRXRの働きを抑えるHX531が子宮内膜症の個数や重さを減少させることも確認した。これらよりPGC-1αは子宮内膜症において病態形成の中心的役割を果たすこと、HX531は新規治療薬として有用である可能性を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
子宮内膜症は生殖年齢女性の約6-10%が罹患し、骨盤痛や不妊の原因となり生活のQOLを著しく低下させる。その病因は不明な点が多く、また従来の治療では再発のリスクや妊娠希望女性には使いづらいなど、新しい治療法の開発が望まれている。われわれが見出したPGC-1αは子宮内膜症の病態形成に中心的な役割を果たす因子であり、その詳細な検討から子宮内膜症の発症機序や増悪のメカニズムの解明に期待できる。またPGC-1αが共役するRXRの阻害剤を用いることで子宮内膜症の治療につながる可能性を見出した。これらは今までとは違う側面からの新規治療法であり、子宮内膜症の克服への一助となると考えられる。
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