研究課題/領域番号 |
19K24054
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0906:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
植野 さやか 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問研究員 (80848937)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 卵巣癌 / 腹腔内免疫 / 転移 / 再発 / BET阻害剤 / 腹腔内マクロファージ / 卵巣がん / マクロファージ / バイオマーカー |
研究開始時の研究の概要 |
卵巣癌は早期から腹腔内播種を来す。腹腔内播種は卵巣癌手術を困難にし、再発の原因となる。腹腔内でがん細胞が生存するためには、腹腔内免疫が抑制状態になっていると考えられる。申請者はマウスモデルを用いた研究を行い、マウス卵巣癌細胞が分泌するタンパクAが、腹腔内でIL10を産生する免疫抑制性マクロファージを誘導することを見出した。 本研究では、このメカニズムをヒト卵巣癌で検証し、新規バイオマーカーの開発を目指す。さらにこのメカニズムを標的とした新規治療薬を探索する。本研究の成果は、卵巣癌にとどまらず、腹腔内播種をきたす他の癌種にも応用できる可能性がある。
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研究成果の概要 |
我々は先行研究で、卵巣癌の腹腔内播種に寄与しうる因子としてPEDFを同定した。本研究ではマウスモデルを用いて、「PEDFは腹腔内に免疫抑制性マクロファージを誘導し、腹腔内でのがん細胞の生存を促進し、腹腔内播種を増加させる」という機序を解明した。卵巣癌患者では、腹水及び血清中PEDFが高値であり、特に転移巣でPEDFの発現が亢進していた。PEDF高値と2年以内の再発率は有意に関連し、再発予測マーカーとなりうる。PEDFの発現を制御する薬剤としてBET阻害剤を同定し、マウスモデルで薬剤効果を検証した。腹腔内がん細胞の生存を抑制することが確認でき、今後さらに薬剤投与条件の最適化を進める。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で、卵巣がんの腹腔内播種に関わる新たな因子であるPEDFを同定することができた。 また、PEDFの発現制御メカニズムが明らかになったことで、卵巣がん播種の治療に効果が見込まれる薬剤を同定することができた。さらにPEDFが再発予測マーカーとして臨床応用できる可能性を示唆する結果が得られた。これらの知見は、今後の卵巣がん治療開発に利用できる可能性がある。
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