研究課題
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IgG4-RDは、高IgG4血症と病変局所の著明なIgG4陽性形質細胞浸潤を特徴とする。臨床的には罹患臓器の腫大や線維化を認め、治療はステロイドが著効するが、約半数で再発するため、厚生労働省の指定難病にも認定されている。近年、IgG4-RDの病態形成への自然免疫の関与が指摘されており、われわれは、マクロファージなどの自然免疫担当細胞に着目し、顎下腺組織の解析を行った。その結果、新規疾患感受性遺伝子としてMARCOを同定した。本研究では、in vitroからin vivoの検討を行い、最終的にはMARCOやその下流分子を標的とした新規治療法の確立を目指すことを目的とする。
IIgG4-RD における M2マクロファージの免疫学的特徴をさらに明確にするためにIgG4-RD患者の唾液腺からセルソーターを用いてM2 マクロファージを抽出し、DNA マイクロアレイにて網羅的解析を行うこととした。現在は健常者での抽出まで完了しており、今後は患者検体での抽出・検討を行う予定である。また、GenomeEnhancer解析により、治療標的分子としてKAT2B(PCAF)といった自然免疫関連分子が抽出された。今後もMARCOに加え、PCAFといった自然免疫担当細胞を活性化させる分子を同定・解析し、IgG4-RD の発症や病態進展のメカニズムの解明し、新規標的分子治療を確立する。
これまでの研究で明らかになっているMARCOを介した下流シグナルを解析することで、MARCO-Tgマウスが作成でき、IgG4-RDの病態を反映することができれば、現在難航しているIgG4-RDモデルマウスの確立にもつながり、現在第一選択薬であるステロイドに代わる新しい分子標的治療にも繋がることが多いに期待される。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件)
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