研究課題
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接着性レジン修復の長期的維持には,象牙質-ボンディングレジン含浸層(ハイブリッド層)の力学的特性が重要である.本研究では,試作のHEMAフリーのあるいは異なる濃度のHEMAと10-MDPを含有したプライマーを試作し象牙質への接着試験を行う.ハイブリッド層の重合率は顕微ラマン分光分析により計測する.ハイブリッド層及びその周囲の力学的特性はナノインデンテーション試験によって評価する.
接着剤と象牙質の界面にMDPが存在すると,Ca塩とのイオン結合が生じ樹脂と象牙質の相互拡散領域で硬いナノレイヤーが形成される.化学結合を強化するためにMDPにHEMAや4-METなどのコモノマーが添加されるが,コモノマーは接着剤と象牙質の界面の剛性を低下させる可能性がある.本研究はモジュラスマッピングの貯蔵弾性係数で示される接着剤-象牙質界面の剛性が,HEMAを含むMDPでは4-METを含むMDPより著しく低いことを示した.またナノインデンテーションによりHEMA存在下で接着層がより変形しやすくなることを示した.以上よりMDP系接着剤において4-METはHEMAよりも優れていることが示された.
接着剤-象牙質界面でMDP系接着剤にHEMAが存在すると剛性の低下と粘弾性変形が大きく,修復材料の保形性が低下する.4-METはHEMAと比較して、より高い剛性とMDPとの協力的な化学的相互作用の可能性がある。よって,4-MET含有MDP系接着剤は優れた補完剤となる可能性が高い.また4-MET含有MDP系接着剤の保持特性は完全に架橋した重合ネットワークに関連したより硬い接着層により増強される可能性がある.本研究の社会的意義は歯科用接着剤-象牙質界面におけるナノインデンテーションと弾性率マッピング試験の同時実施が,歯科用接着剤の保定特性の良い指標となり材料学的な新しい評価方法となったことである.
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