研究課題/領域番号 |
19K24231
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
中山 千尋 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (10849110)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 福島 / 原発事故 / 放射線デマ / 科学リテラシー / 誤解 / 価値観 / 放射線 / 情報 / 健康影響 / 科学 / 政治 |
研究開始時の研究の概要 |
東京電力福島第一原子力発電所の事故から8年以上が過ぎた。福島の放射線量は下がり、健康リスクは小さいと考えられる。しかし最近でも「外遊びができない福島の子ども」等と書く新聞記事があり、インターネットでは「福島は危険」という言説が多数ある。専門家や行政は「科学的事実」を説明してきたが、こうした「誤解」が続き、風評被害や、不安、スティグマ等を起こしている。これは、福島に関しての説明不足だけでなく、科学的事実を知っても認めないような、科学とは別な価値観が原因と考えられる。本研究では、福島に関する「誤解」の現状と、科学とは別の「価値観」の調査を行ない、その関連を探って「誤解」被害減少の方策を提案する。
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研究成果の概要 |
原発事故後の福島に関する「誤解」の実態と、関連する価値観について、2021年2月に東京400人、福島400人を対象にしたオンライン調査を実施した。「誤解」の実態として、福島の人の子孫に放射線被ばくの「次世代影響がある」と答えた人は、東京37%、福島34%、であった。単変量解析の結果、両地域で共通して「次世代影響がある」に関連した項目は、「日本は民主的ではない」、「日本は人権を尊重していない」、「科学技術によって世界はより悪くなっている」、「原発はすぐに廃止するべき」、「現内閣を支持しない」、「福島の放射線や健康被害のデータを政府は隠蔽している」等であった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今後の福島の原発事故からの復興を進めて行くにあたり、福島の現状について「誤解」なく、正しく理解することは第一歩で、必須の事項である。福島にとって、住民の「次世代影響」、「これから起こる健康影響」のような未来に及ぶ「誤解」による不安等がもたらす、QOL低下や精神的な損失等を減らすことは、喫緊の課題と考えられる。本研究の意義は、2021年2月という、震災・原発事故後ほぼ10年における、福島の「誤解」の実態の実証的把握をおこなったことである。また、これら「誤解」の要因と考えられる事項についても尋ねたことで、今後はデータの更なる統計的解析を進め、「誤解」解消の方策を考察することが可能になった。
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