研究課題/領域番号 |
19K24239
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
花房 謙一 目白大学, 保健医療学部, 教授 (70846865)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 肺炎 / リハビリテーション / 質的研究 / 機能改善 / 生活行為改善 / 再発予防 / クリニカルパス / 日常生活動作 / 自宅復帰率 / リハビリテーションプログラム |
研究開始時の研究の概要 |
現在広く用いられている肺炎患者の入院計画書(クリニカルパス)は、薬物療法を主体としたものである。現在のクリニカルパスでは、肺炎が改善した時点でリハビリテーション(以下、リハ)を開始するが、開始時には認知面・身体面の低下が著明であり、回復に時間を要すため、転院が余儀なくされる。この研究の目的は、認知面と身体面(とくに、日常生活動作能力)に着目したリハプログラムを入院後早期から開始する群と従来の取り組みのみの群の自宅復帰率を比較し、リハの観点から新しいクリニカルパスを提案することである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,リハビリテーションの観点から日常生活動作に着目した肺炎患者のクリニカルパスを作成することである. 2022年度は,臨床現場で肺炎患者を担当した経験のある作業療法士にオンラインでのインタビューを実施した結果をまとめ,その結果を専門雑誌に投稿し,修正を繰り返した.原稿をまとめるうえでは,第32回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会に参加し,肺炎の診療に関与している医師や理学療法士,作業療法士,言語聴覚療法士などと意見交換を実施した.本研究の意義は,市中肺炎患者が過度な安静を強いられることなく,急性期病院から自宅退院が可能な患者は早期に自宅退院ができるようにするため,リハビリテーションの適切な介入時期,介入内容を提言することである.日常生活動作に着目するという点で,日常生活動作の練習を主に実施する作業療法士の意見を集約し,論文にまとめている.専門雑誌への投稿は,査読者とやり取りを行う中でより洗練された文章の構成が可能となり,多くの人の目に触れるものとして公表できるものとなる.市中肺炎患者に関わる作業療法士の意見を集約した本論文は,市中肺炎患者を担当したことのない経験の浅い作業療法士や作業療法士が関与していない施設において,日常生活動作をどのように支援すべきかを知る有効な手引きとして役立つのものとして考えられる. 一方,2019年度にアンケート調査を実施した施設の中で,市中肺炎患者の取り組みが優れた施設のリハビリテーションプログラムを多施設で実施するという介入調査の可否を2022年も模索したが,新型コロナウイルスの流行が終息しつつあるとはいえ,医療現場では協力ができないとの結果となり,介入調査による提言は断念せざるを得ない状態であった.したがって,最終年度となる2023年度は,介入調査による提言をまとめるのではなく,質的調査による結果をまとめることとなる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は,2019年度に市中肺炎患者のリハビリテーション状況を調査し,2020年度は2019年度の調査結果から市中肺炎患者の取り組みが優れた施設のリハビリテーションプログラムを参考として,多施設での介入調査を実施し,市中肺炎患者に対する有効なリハビリテーションクリニカルパスの提言をおこなうことが目標であった.しかし,研究計画時に予想しなかった新型コロナウイルスの流行および蔓延により,2020年度に介入調査の依頼が不可能となった.2021年には介入調査が難しいことから市中肺炎患者の診療の関わる作業療法士を対象とした質的研究に切り替え,彼らの経験から提言が行えるように研究方法を変更した.2022年は新型コロナウイルスの流行が終息しつつあり,介入調査への協力を打診したが,医療現場は決して外部の研究者が介入調査を依頼できるほどの余力がなく,調査協力の依頼ができる状態ではなかった.したがって,当初予定していた介入調査が実施できず,質的研究ならびに他の研究者との意見交換による調査結果の集約等を実施していたため,当初の研究からは遅れているという評価となった.
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた介入調査から質的研究に研究方法を変更しており,市中肺炎患者を担当した経験のある作業療法士にインタビュー調査した結果を現在も継続してまとめている.2023年度を最終年度ととらえ,日常生活動作の改善に着目したリハビリテーションクリニカルパスの在り方について,質的研究の側面から最終的な提言ができるように,多くの文献を集約し報告を行う形で研究を進めていきたい.
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