研究課題
研究活動スタート支援
国際共同研究INTERMAP研究では4カ国17集団、40-59歳男女4,680人に、4日間の24時間思い出し法による栄養調査、2日間の24時間蓄尿、4日にわたる8回の血圧測定、質問紙調査等を実施した。加えて、日本とハワイ在住日系米人の5集団では血液が保存されている(INTERLIPID研究)。これを用いて血液中のメタボローム解析を行い、尿中のメタボローム、栄養調査等と合わせ、食・生活習慣を反映するバイオマーカー、生活習慣病の病因・病態に迫るメタボロームを探索する。同一遺伝子を持ち環境の異なる日本人と日系米人の比較により、食環境に依存するメタボロームに着目し、生活習慣病に関わる病因を解明する。
INTERLIPID対象者(日本人と日系米人)計1,307人の血清メタボローム解析を実施した。日本人と日系米人で最も異なる血清リポたんぱく質は、男女ともに最小径HDL4濃度であった。HDL4濃度は魚由来オメガ3多価不飽和脂肪酸摂取量と負の相関性があり、日本人は日系米人よりHDL4濃度が低かった。年齢、性別、国、BMI、飲酒量、喫煙状況、身体活動、その他栄養素等で調整しても負の関連性は残り、これら変数との交互作用も認められなかった。今後は、HDL4濃度の臨床的意義についても検討したい。
遺伝的に類似し、環境要因の異なる日本人とハワイ在住日系米人を比較したところ、男女ともに最小径HDL4が最も異なった。また、日本人が日系米人よりHDL4濃度が低い理由として、高い魚の摂取量が一要因として考えられた。HDL粒子サイズの臨床的意義は謎であるが、先行研究より最小径HDL4は循環器疾患の危険因子またはマーカーである可能性はある。また、HDL粒子サイズや最大径HDL1は魚摂取量のマーカーとして捉えられる可能性もあり、今後さらなる検証が必要である。
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Journal of Atherosclerosis and Thrombosis
巻: 30 号: 8 ページ: 884-906
10.5551/jat.63762