研究課題
研究活動スタート支援
まず、インドネシア大学医学研究科精神医学教室と共同で、CBTプログラム案を作成する。世界で普及しているCBTを参考に、尼国の社会背景を反映し、かつ病院外来や保健センターでも提供可能なものにする。次に、パイロット試験を行い、結果をもとに改良し、プログラムを完成させる。最後に、病院、リハビリ施設、保健センター等6施設において、RCTによる効果検証を行う。薬物依存症をもつ者90名を、無作為にCBTを受ける介入群と通常診療を受ける対照群にわりつける。主要アウトカムはQoLとし、WHOQOL-BREFで測定する。治療前(T1)、直後(T2)、追跡3ヶ月時(T3)で評価する。
インドネシアにおいて、物質使用障害をもつ人向け認知行動療法の開発に取り組んだ。当事者や臨床家、専門家などと議論を重ね、現地の実情に即した内容になるよう努めた。インドネシア大学よりワークブックを出版し、全国の書店で購入可能となっている。内容や現地での研修において、開発したプログラムが、「自分の薬物使用について誰にも咎められることなく話せる安心な場所」なるよう工夫を重ねた。現在は、無作為化比較試験により効果検証に取り組んでいる。中間解析では、薬物使用日数、依存症重症度、内面化スティグマの低下などの効果が認められている。今後も効果検証を続け、物質使用障害をもつ人の孤立を防ぎ、回復支援に寄与したい。
インドネシアで物質使用障害に対する心理療法の効果検証を無作為化比較試験で行うことは本研究が初である。リハビリテーションが法律で規定されているものの、どのようなプログラムが効果があるのかについての報告はない。さらに、パンデミックを受けて、オンラインで実施した今回の試験は、低中所得国全体でも初の取り組みである。インドネシア大学と共同で実施している本研究は既に政府からも問い合わせを受けるなど大きな関心を呼んでいる。当事者カウンセラーも治療に参加していることで、医療従事者が物質使用障害患者に対して抱く忌避感情も低減されており、今後普及するにあたっては人材育成の役割も果たすことが出来ると期待している。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (1件)
F1000Research
巻: 11 ページ: 206-206
10.12688/f1000research.79534.1
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Japan-ASEAN Transdisciplinary Studies Working Paper Series (TDWPS)
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BMJ Open
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https://japan-asean.cseas.kyoto-u.ac.jp/