研究課題/領域番号 |
19K24273
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
川端 紗也花 四国大学, 生活科学部, 助教 (40735768)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 産後うつ / 食生活 / 因子分析 / エジンバラ産後うつ質問票 / 食物摂取頻度調査 / 食事 / 食事調査 / オンライン / 栄養 / 栄養調査 / 栄養疫学 / メンタルヘルス |
研究開始時の研究の概要 |
近年、うつ病の発症に鉄や亜鉛などの栄養素の不足との関連が報告されている。特に、産後うつはその発症機序や要因が明らかでない一方で、平成27、28年における妊産婦の死亡理由の最多が自殺であることや虐待死への関連から、産後うつ対策は社会的に急務であるといえる。加えて日本人の20~30代女性は鉄不足が散見されることから、本研究では食生活の偏りと産後のメンタルヘルスの関係性に着目した。 産後3か月以内の女性を対象に、産後うつのリスク診断および食事摂取頻度調査を行い、産後うつ高リスク群と低リスク群の栄養素摂取状況を比較し、産後うつの治療・予防につながる食生活について検討する。
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研究実績の概要 |
四国大学倫理審査委員会の承認を得て、調査会社を介した産後1年以内の女性に対し、産後3か月間の食物摂取頻度調査をはじめとする各種調査を実施した。その結果、410名の回答を得た。得られた回答データは被験者の年齢、年収等の基礎的データ、産後3か月間の食品群別摂取量、栄養素摂取量、産後うつリスクファクターとなりうるエジンバラ産後うつ質問票回答値である。 これらの精査・調整し、解析を行った。(SPSS Statistics ver.26)具体的には、被験者の15食品群別摂取量について、因子分析(重みづけのない最小二乗法、プロマックス回転)を実施した。その結果、3因子が得られた。それぞれの因子に基づく食パターンは次の通りである。因子1は海藻類、淡色野菜、きのこ類、緑黄色野菜、漬物類、果物、豆類から、因子2は魚介類、菓子類、肉類、穀類から、因子3は卵類、乳類からなる。各因子のアルファ係数から、因子分析の妥当性を評価した。 次に各食パターンにおける対象者の因子得点を食パターンの遵守度とみなし、第1四分位数(Lowest)群、第2四分位数群、第3四分位数群、第4四分位数(Highest)群の4群に分け、ロジスティック回帰分析により各因子についてLowest群の産後うつリスクを1とした時のオッズ比を算出した。この時、年齢、出産週数、世帯年収、出産経験、睡眠状況等を共変量とした。その結果、因子1のLowest群を1としたとき、Highest群において有意に産後うつリスクとの関連性を認めた。因子2についても同様であり、因子1よりも強い関連性を認めた。 今後は主成分分析および判別分析、共分散構造分析を行い、さらなる解析を進めていく予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により、当初計画していた調査は行えずにいたが、遠隔での調査に切り替えたことによりデータの回収及び解析を進めることができたため。今後は得られたデータをもとにさらなる解析をすすめ、結果をまとめていきたいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
得られたデータから対象者の産後3か月間における食事パターンを絞り込み、産後うつリスクとの関連性を認めた。今後の方策としては、この結果を別の視点から検証していく。 具体的には、各食パターンにおける低遵守度群と高遵守度群の食品群別摂取量、栄養素別摂取量の記述統計から具体的に食事内容にどのような差異を認めるかを検討したい。さらに対象者を産後うつリスク高群と低群に分け、食品群別摂取量から主成分分析を行い、2群の総合的な食事パターンを割り出し、比較を行う。または、判別分析によりこの2群の食品群別摂取量を解析し、産後うつリスクを予測可能な食パターンについて検討し、先のロジスティック回帰分析により得られた結果の整合性をみたい。 これらの解析結果から、産後うつリスクに影響を及ぼし得る食パターンについて考察を行い、共分散構造分析によりその考察について検証を行いたいとも考えている。
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