研究課題/領域番号 |
19K24275
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
松本 綾希子 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策研究所, 特任研究員 (50847556)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 乳がん検診 / 若年者 / 過剰診断 / 乳がん |
研究開始時の研究の概要 |
科学的根拠に基づかない癌検診は多数実施されており、40歳未満の若年者に対する乳癌検診もその一つである。検診は利益と不利益のバランスを勘案する必要があるが、その理解は現状では受診者・提供者ともに不十分である。そこで今回の研究では、若年者乳癌検診の利益(死亡の回避、発見癌のステージ・サブタイプ分布)、不利益(偽陽性、精検の内容と費用)などについて全国規模のデータを収集し、受診者・提供者それぞれの利益と不利益を具体的な数値で一見して理解できる形にすることを目的とする。
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研究成果の概要 |
大規模検診実施機関から収集したデータを用い、30歳女性のモダリティ別の乳がん検診成績を分析した。30歳代は40歳代と比較してがん発見率が低く、要精検判定後に侵襲的検査を受けた割合が高かった。とくに超音波検査では有意に要精検判定後の侵襲的検査が多く、41.9%と高率であった。また、若年女性がなぜ乳がん検診を受診しているのか、実際の意見についてのアンケート調査を実施した。その結果、30歳代女性が乳がん検診を受診する理由として主なものは、所属する企業や自治体からの勧奨行動であった。医学的妥当性のない勧奨行動により、不要な侵襲的精密検査などの不利益が生じていることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、30歳代女性は所属企業や自治体からの勧奨により科学的根拠のない乳がん検診を受診している可能性が高く、がん検診本来の役割であるがん発見につながらない不要な侵襲的検査が多く行われていることが明らかとなった。集団に対しがん検診を提供する場合には利益が不利益を上回る科学的根拠が不可欠である。がん検診の実施主体が、本来不要ながん検診をとりやめる一助となりうる研究である。
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