研究課題/領域番号 |
19K24307
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 周平 東北大学, 医学系研究科, 助教 (90851345)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | FABP / pDC / Immune response / FABP5 / lipid metabolism / 脂質応答 / 免疫制御 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、脂質の重要な構成要素である長鎖脂肪酸の摂取量変化による炎症性疾患の寛解や増悪が報告され、脂質栄養環境による免疫細胞の制御に大きな注目が集まっている。しかしながら、免疫細胞内外の脂質栄養環境が、どのような分子メカニズムにより免疫機能制御に影響するかは未だ謎に包まれている。本申請では、免疫制御に重要な制御性T細胞 (Treg)とその誘導因子の一つである形質細胞様樹状細胞 (pDC)に着目し、脂質環境変化に対してpDCとTregの機能的連関がいかなる応答を示すのかについて、細胞レベルおよび病態モデルで検証する。
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研究成果の概要 |
申請者は、形質細胞様樹状細胞 (pDC)がFABP5を発現することを見出した。FABP5欠損によって脾臓やリンパ節中のpDC分布に異常は認められなかった。さらに、pDCが選択的に発現するToll様受容体7(TLR7)およびTLR9は定常状態で同程度であったが、リガンド刺激により、FABP5欠損pDCは炎症関連遺伝子の過剰な発現が認められた。一方、免疫抑制性関連の遺伝子発現は有意な差が認められず、FABP5がpDCの炎症バランスの制御を担う可能性が示唆された。また、炎症関連遺伝子の発現上昇が、転写因子IRF7の発現、NF-κBの構成要素であるp65のリン酸化の亢進が原因であることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
pDCは炎症促進および抑制の機能を有する免疫応答の中枢を担う自然免疫細胞であり、様々な炎症性疾患の制御へ関与する。本研究から、pDCにおけるFABP5を介した脂質恒常性の維持が炎症制御に重要であることが明らかとなった。免疫細胞における脂質代謝変化の重要性が注目される中で、pDCにおける脂質代謝変化の影響を明らかにした報告はなく、pDCを介した免疫恒常性維持の理解や分子基盤の構築へ向けて大きな前進となった。今後、pDC内のFABP5による脂質恒常性が周辺細胞へどのような影響を及ぼすのか、細胞連関の観点から明らかにすると共に、in vivo実験から炎症性疾患の病態制御との関連性をより強固に示す。
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