研究課題
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ヒトがバランスを保つためには、重力に抗う筋や骨格の作用だけではなく、身体の空間的位置を正確に把握できているかが重要とされる。その中で申請者は、「身体の垂直性を判断する能力(SPV)」に着目し、高齢者や脳卒中患者のSPVを調査し、姿勢バランス異常には運動機能の低下や障害だけでなく、SPVの異常があることを確認した。そこで本研究では、バランス反応がみられる頭部や下肢などの位置関係を変化させ、さらに頚部へ振動刺激を加えることによるSPVへの影響を検証することを目的とする。本研究により、SPVの適正化による脳卒中患者の姿勢バランス障害の新規治療法の開発に貢献できると考えられる。
本研究は、身体の垂直性を判断する能力(主観的身体垂直認知:SPV)に対し、後頚部への振動刺激(Neck Muscle Vibration;NMV)がいかなる影響をおよぼすかを検証した。その結果、健常成人48名を対象にデータでは、NMVは刺激側にかかわらず刺激中のSPV傾斜方向性には影響しなかったが、SPV動揺性を軽減させることが示された。脳卒中患者20例では、傾斜方向性は振動刺激によって影響をうけないのに対し、動揺性は刺激中にのみ減少することが示され、NMVによるSPVの変容は健常成人と同様の傾向をもつことが示唆された。
本研究では、健常成人ならびに脳卒中患者を対象に、後頚部への振動刺激が身体平衡にかかわる認知的側面に影響するかを検証した。その結果、振動刺激によって垂直の判断精度が改善することが示唆された。このことは、加齢や脳卒中後のバランス障害に対し、従来の身体的な側面に対するリハビリテーションだけでなく、バランスに関与する認知的側面に対する治療手段として応用できる可能性があると考えられる。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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