研究課題/領域番号 |
19K24389
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
1101:環境解析評価、環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
齋藤 文代 岡山理科大学, 獣医学部, 准教授 (80800672)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 肝毒性 / 脂肪変性 / オミクス解析 / 毒性パスウェイ / AOP |
研究開始時の研究の概要 |
肝臓は化学物質暴露により最も影響を受ける臓器で、医薬品開発で肝毒性は開発中止の主な要因の一つである。早期に生じる肝毒性において、脂肪変性は肝がんにつながる可能性が高い重要な病変である。 本研究では、化学物質で生じる肝脂肪変性についてタンパク質の機能的変化に注目し、遺伝子発現から組織変化までを統合的に解析してシーケンシャルな毒性パスウェイを解明する。まず脂肪変性に関連した標的分子を絞り込み、次に細胞内イベントをタンパク質レベルで検出し、最後に多層的データからの毒性パスウェイを構築する。これらを通して、化学物質暴露による肝脂肪変性の機序を明らかにし、毒性メカニズム研究の新たなアプローチを示す。
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研究成果の概要 |
本研究では肝脂肪変性の細胞内イベントを遺伝子発現から組織変化までを統合的に解析した。四塩化炭素(CCl4)とエチオニン(ET)をラットに最大28日間投与した結果、肝白色化やALP、γ-GT、T-BilおよびTBAの有意な増加は共通だったものの、AST、ALT、LDHの有意な増加はCCl4のみ、T-Colの減少はETのみだった。遺伝子発現解析では、UPS系及びERストレス関連の低下はET群で有意で、酸化的リン酸化の異常はCCl4群で有意だった。脂肪酸のβ酸化や輸送異常は共通性が高かったことから、イニシエーション反応には差があるものの、脂肪蓄積の細胞イベントには共通性が高いことが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の結果から、毒性症状としては同じ脂肪変性を示す化合物であっても、その分子メカニズムや肝臓に与える毒性影響には時間的なものを含めてそこに至るまでの細胞内イベントが異なることが分かった。しかし、その結果として脂肪変性が生じると、その表現型に関与する遺伝子群には共通性が高かったことから、毒性としては“収束”していくことが分かった。本研究成果は毒性症状の段階的な進行に関して分子レベルでのメカニズムを考察できる非常に有用なもので、複雑な毒性症状を理解し、より早期の検出法開発への応用が期待できる。
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