研究課題/領域番号 |
19K24683
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(帰国発展研究)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
人文社会系
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
宮本 百合 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (60794641)
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研究期間 (年度) |
2021-03-12 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
19,890千円 (直接経費: 15,300千円、間接経費: 4,590千円)
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キーワード | 文化 / 感情 / 無常観 / はかなさ / 美的感情 / 美的知覚 / 精神的・身体的健康 |
研究成果の概要 |
本研究では、「はかなさ」と美的感情の関係を、調査や実験によって検証した。調査においては、移ろいやすい風景の画像を見た際にはかないと感じる人は、感動などの美的感情を感じやすく、さらにその関係は悲しみの感情が媒介していることが示された。「はかなさ」を実験的に操作した多国間比較実験では、特に東アジアにおいて、「はかなさ」が喚起されると、「悲しみ」の感情や美的感情が強まる効果が見られた。また、主観的な自己報告だけでなく、「はかなさ」を感じた際の生理的反応や、睡眠指標との関係も明らかにした。これらの研究から、「はかなさ」が「悲しみ」と美的感情に及ぼす影響の、多層的な基盤が明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでの心理学の研究においては、不安や悲しみといった「否定的な感情」は精神的・身体的健康に悪影響を及ぼすとされ、人はそのような「否定的な感情」を最小化しようとするとされてきた。一方で、「無常観」が歴史的に根付いてきた日本においては、一見否定的である「はかなさ」や「悲しみ」の中に、肯定的な意味を見出す感情様式があると論じられてきたものの、実証研究は乏しかった。本研究は、「はかなさ」や「悲しみ」に美的感情を感じる感情様式があることとその文化的、心理的、生理的基盤、また、そのような感情様式と健康との関連を実証的に解明した点で、学術的・社会的意義がある。
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