研究課題/領域番号 |
19KK0008
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
住吉 朋彦 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 教授 (80327668)
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研究分担者 |
堀川 貴司 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 教授 (20229230)
矢島 明希子 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 講師 (20803373)
陳 捷 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (40318580)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2020年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 日本漢籍 / 蔵書学 / 今関天彭 / 書誌学 / 文献学 / 考証学 / 詞曲 / 小説 / 三井文庫 / 日本漢詩 |
研究開始時の研究の概要 |
アメリカ合衆国カリフォルニア大学バークレー校ほか同国諸図書館に散在する、近代日本の漢学者・今関天彭蒐集の、清朝学術調査資料に書誌調査を加え、蔵書の旧態を再構築した上、その目録、解題、蔵書紀要を作成する。 その成果に拠り、書籍固有の価値を顕彰すると共に、蔵書の特質を形象化した上、同時代の対アジア文化事業との関わりや、清朝考証学の受容を機軸として近代日本漢学との関わりを検討し、その学術史上の位相と意義を明らかにする。 また今関天彭の活動を素材として、国際的な討議研究を展開し、近代日中文化交流及び、文献学・書誌学の展開を考え、日中米の立場を超えた共通認識を確立、人文学の世界的発展に貢献する。
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研究成果の概要 |
今回の研究により、今関旧蔵本の書誌と画像を「今関コレクションデータベース」にまとめ、研究者に基礎情報を提示した。また原本の書誌調査を進め、カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館(以下UCB-EAL)に5回渡航し、199部1857冊の調査と撮影を行った。これにより今関旧蔵本漢籍四部の調査を終えた。またUCBからUCLAに譲渡された書目を析出、UCLA-EALにおいてその調査撮影を完了した。その際、UC文書を調査し、譲渡の実態を明らかにした。調査研究の結果を踏まえ、今関旧蔵本の特質をまとめ、2023年にUCBで国際研究集会を、2024年に北京大学で国際シンポジウムを開き討論と普及を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今関天彭蒐集漢籍の背後には、清朝文化に向けられた強い探究心があり、それは民国時代における現状理解の工作であるのと共に、独自の発達を遂げた学術を、東洋思想発展の萌芽として重視する志向であった。呉梅村の文学に向けられた哀悼や、詞曲小説の愛好は、それが感情のレヴェルで醸成された確信であり、馬叙倫との交流や、その学術観紹介の努力を見ると、近代を変革する原動力を現に求めていたことと知られる。これは、文献考証の技術を学ぶ純粋培養の学問ではなく、国境を越えた人的交流の中で蓄えられた思想であって、彼の蔵書は、漢文化に基づく東洋の可能性を示そうとする知的遺産であったことを、今回の研究は明らかにした。
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