研究課題/領域番号 |
19KK0009
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
佐藤 悟 実践女子大学, 文学部, 教授 (50178729)
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研究分担者 |
高木 元 大妻女子大学, 文学部, 教授 (00226747)
神林 尚子 大妻女子大学, 文学部, 准教授 (20759485)
松原 哲子 実践女子大学, 研究推進機構, 研究員 (70796391)
山本 和明 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (90249433)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 合巻 / 高精細デジタル顕微鏡 / 国書データベース / 偐紫田舎源氏 / 米粉 / コウゾ / ミツマタ / 再生紙 / 桜曇春朧夜 / 正本製 / 渓斎英泉 / 柳亭種彦 / 笑初金島台 / 万福長者栄花物語 / 呉竹園呉竹 / 山東京伝 / 黄表紙 / 絵本 / 高精細マイクロデジタルマイクロスコープ / 歌川国貞 / 天保改革 / 正本写 / 曲亭馬琴 / 式亭三馬 / 歌川豊国 / 切付本 / 草双紙 / ソウル大学校 |
研究開始時の研究の概要 |
近世日本の文学と出版文化を明らかにするため不可欠な草双紙研究を行なう。特に合巻については韓国のソウル大学校に所蔵される合巻約800点は、印刷や保存状態の点で、世界最高水準のコレクションである。ソウル大学本は合巻が誕生し 造本上の試行錯誤を繰り返した文化(1804-17)初期の作品には日本国内には存在しない形態の作品が多く、合巻の体系的な研究には不可欠の存在である。これらを研究することにより、従来とは異なる新しい視点の研究が可能となる。 その成果を国文学研究資料館のホームページにおいて公開することにより、草双紙の世界的な研究を引き起こす契機とする。
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研究実績の概要 |
研究分担者の髙木元千葉大学名誉教授、山本和明国文学研究資料館、松原哲子国文学研究資料館准教授、研究協力者の李俊甫大阪大学院生、崔京国明知大学校教授、洪晟準檀国大学校准教授、金美眞蔚山大学校准教授らと共同研究を進めた。前記の研究分担者と7月にソウル大学校の調査を行ない、8月には金准教授、全州大学校片龍雨教授を訪問して2024年12月に蔚山大学校で実施する第14回絵入本ワークショップの準備を進めた。1月には来日した国民大学校金賢旭教授とも共同研究の協議を行った。2月には蔚山において洪教授が担当する2024年5月にソウル大学校で開催される東アジア日本学会で今回の成果を佐藤と山本教授が発表することが決定した。さらに絵入本ワークショップの日程、発表者についての協議を行った。 国内ではソウル大学校に所蔵される合巻と同じ書名の資料についての研究を進めた。国内でも実践女子大学と国文学研究資料館以外での調査は困難で、個人蔵の合巻を対象に進めているものものある。 2023年度においてソウル大学校の合巻調査はほぼ修了し、今後は多少の修正のための調査が必要となるという段階まで来た。調査成果は国文学研究資料館のサーバーにより公開予定で、ソウル大学校の事務当局の内諾を得ている。2024年5月に研究分担者の山本教授と最終決定のために訪韓する予定である。 また研究分担者、研究協力者、及びケンブリッジ大学等海外大学院生が参加してzoomで開催される合巻研究会を、4月7日、5月12日、11月29日、3月22日に実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により韓国への渡航が困難になっていたが、ビザなし渡航が可能になるなど、研究条件が改善された。 主な調査対象であったソウル大学校の合巻についても、調査がほぼ終了した。研究調査のインターネット公開についてもソウル大学校が好意的で、実現に近づいている。 学会、ワークショップ等の準備も順調で、2024年度に成果を発表することが可能となった。 また研究代表者、分担者、協力者のネットワークもうまく機能し、研究会の開催も定期的に実施できている。 上記のことから、韓国内に草双紙の研究拠点を形成するという当初の目標をほぼ達成していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
ソウル大学校の草双紙目録の校正を行ない、必要箇所の訂正を行う。そのための渡韓は必要である。 また高精細デジタル顕微鏡による研究をさらに推進する。韓国内の高精細デジタル顕微鏡をソウル大学校で使用する目途がまだ立たないので、国内の同種の本の分析を進める。檀国大学校がこの方法に関心を持っているので、協力関係の構築に努める。 2024年5月25日に開催される東アジア日本学会において、ソウル大学校で発見され『偐紫田舎源氏』の藍摺本に関する問題を提起するため、佐藤は「『偐紫田舎源氏』の諸本」という発表を行う。これは国文学研究資料館が公開している国書データベースと組み合わせることによって、『偐紫田舎源氏』の出版治定を明らかにするという、新しいデータベース・高精細デジタル顕微鏡・従来の国文学研究を融合させた新しい研究方法を提示するものとなる。 12月20日から23日に開催される絵入本ワークショップでは韓国内の若手研究者を中心に研究発表が行われる予定である。
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