研究課題/領域番号 |
19KK0017
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
小林 謙一 中央大学, 文学部, 教授 (80303296)
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研究分担者 |
國木田 大 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (00549561)
遠部 慎 中央大学, 人文科学研究所, 客員研究員 (50450151)
下釜 和也 千葉工業大学, 地球学研究センター, 研究員 (70580116)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 縄紋文化 / 東アジア先史文化 / 炭素14年代 / 安定同位体比 / 土器 / 炭素14年代測定 / 先史文化の実年代化 / 縄紋草創期・早期 / 同位体比 / 先史年代体系 / 土器の出現 / ユーラシア先史時代 / 年代測定 / 同位体分析 / 縄紋草創期 / 新石器時代 / 文化の多元発生 |
研究開始時の研究の概要 |
ユーラシア各地の旧石器時代の終わり・土器の始まりから土器の普及まで約10,000年間を対象とし、土器型式による相対年代と多様な測定法によってきた自然科学的年代を整理し、不足部分を新たに測定して、実年代の枠組みを完成させる。朝鮮半島、中国東北部、シベリア東部、中近東など、年代測定を集積して時期区分を相互に比較できるよう対比年代を明確にし、土器の広がりが伝播か多元発生かを明らかにする。実年代でのユーラシア先史文化の枠組みを完成させ、環境変動と文化史的変化と検討する。同時に、炭素14年代・酸素同位体と年輪・貝輪年代など年代測定法の多様な方法論の相互検証と補完を重ね、新たな年代決定の方法を構築する。
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研究実績の概要 |
コロナ禍の影響が残っており、特に海外での研究活動は十分におこないえる環境ではなかったが、少しづつ海外への渡航も含めての調査活動を再開した。同時に、国内の縄紋年代測定データについては、研究代表者、各分担者ともに多くの成果を挙げることができつつある。ただし、中国・中近東および戦争の影響があるロシアへ入国しての研究は見通しが立たないため、状況を見つつ準備をおこなっていく。 研究代表者は、所属大学の在外研究制度を利用し2022年4月から7月にかけてケンブリッジ大に滞在したが、その際に海外研究協力者の英国ケンブリッジ大のエンリコ准教授と共同研究を進め、測定値分布データの分析をおこなう基盤を構築した。同時に、日本列島の先史時代における農耕開始期のデータについて共同で検討を進めた。2022年4月にオンラインでエンリコ氏の公開講演会、9月にはエンリコ氏や韓国の研究者を含めた国際研究集会をオンラインで開催し、成果の中間報告とした。 年代測定測定用資料について、代表者及び分担者で分担し、中国、韓国、ロシア、中近東について現地に赴く準備として情報収集を進めた。コロナ禍の状況が2022年度は、まだ十分に収束したとはいえない状況であったため、 韓国については釜山大学など釜山近郊の新石器時代遺跡関係、中国については仙人洞など土器出現期の情報収集、ロシアについてはアムール川流域の新たな調査状況や沿海州などの土器文化の年代的位置づけ、西アジアについてはイラン・イラクにおける考古学的情報の収集をおこなった。 同時に、ユーラシア各地の土器出現期の様相に対応する形で、日本列島各地での土器出現期の年代データ収集として、青森県草創期遺跡や北海道の早期遺跡、岩手県宮古市の早期遺跡の試料について、土器付着炭化物の収集とAMS測定をおこなった。 まずは、国内の年代測定データについては、各自が積極的に報告・公表を進めつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ユーラシア各地における新石器文化成立過程に対し、炭素14年代測定法などの年代測定による実年代体系と考古編年、微環境・広域気候復元など生態史を対比させることを目標とし、各地の年代・同位体測定用の資料収集を進めることが目標であるが、2022年度においては、コロナ禍の影響もまだ払拭できず、一部の地域における収集と、渡航が可能となった後の収集のための準備に充てた。ただし、特にロシアについては戦争の影響が大きく、当面共同研究を進める状況にはないことが予想される。 なお、国際共同研究体勢の構築の目的で、研究代表は所属機関の在外研究制度を利用してイギリス・ケンブリッジ大に2022年4月から7月の4ヶ月弱滞在し、ケンブリッジ大マクドナルト考古学研究所、エンリコ・クレマー准教授、セインズベリー日本芸術文化研究所、サイモンケスナー教授と共同研究を進めた。その際、ケンブリッジAECの協力により青銅器時代遺跡から年代測定・同位体測定用の土器付着物を採取した。さらに東アジアの先史遺跡の試料収集の準備として、2023年3月に韓国釜山大学博物館へ赴き、廣瀬学芸員や釜山市博物館と研究協力の協議をおこなった。 日本列島国内の縄文草創期・早期資料として、北海道函館市中野A遺跡や西股遺跡、岩手県宮古市大崎貝塚、青森県内の草創期遺跡など土器出現・普及期の土器付着物を収集、AMS年代測定をおこなった。 分担者はそれぞれが海外調査の準備および国内比較資料の収集をおこなった。遠部慎は愛知県や岡山県の縄紋資料の収集測定の他、愛媛県久万高原町の猿楽遺跡の調査や、小林と共同で岡山県地蔵ヶ淵岩陰の発掘調査と年代測定研究を進めた。國木田大は包埋炭化物や微量分析などの測定方法を開発、実施し、下釜はイラクの共同研究者との研究準備の協議を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度からの若手育成として、2022年度に学位を取得した西本志保子を研究分担者に加え、年代測定研究を現分担者の遠部慎らとともに研究を進めてもらうこととする。同時に西本は土器器面の圧痕レプリカ法についても研究を推進しており、年代測定と同時に土器出現期の植物遺体検出にも研究を拡大する。 海外の年代測定をおこなうため、代表の小林らは韓国、中国へ赴き、特に韓国とは、釜山大、釜山市、韓神大と共同研究の協議を進める。分担者の下釜は、イラクなどとの共同研究を進める。また、ウクライナ戦争が終結し情勢が落ち着き次第、分担者の國木田はロシアとの共同研究を推進する。 国内の土器出現期については、北海道函館市中野A遺跡・西股遺跡・大船C遺跡など、同帯広市内大正遺跡群、青森県発茶沢・櫛引・潟野・中野平遺跡他、福島県いわき市竹ノ内遺跡など、国内各地の土器付着物について収集と測定をおこなう。また、日本国内でも手薄であった南西諸島への資料収集を鹿児島県徳之島などにおいて、実施する予定である。さらに分担者の遠部を中心に、愛媛県久万高原町上黒岩岩陰遺跡・上黒岩第2岩陰遺跡、岡山県地蔵ヶ淵洞穴、小林河原遺跡の発掘調査・整理作業を進め、年代等の分析も進める予定である。 2024年度に成果報告会を中央大学でハイブリッドにより開催し、成果を広く世界に発信する予定であるため、その準備会を分担者、研究協力者と2023年秋におこなうこととする。
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