研究課題/領域番号 |
19KK0028
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分5:法学およびその関連分野
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
児矢野 マリ 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (90212753)
|
研究分担者 |
阪口 功 学習院大学, 法学部, 教授 (60406874)
松本 充郎 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 准教授 (70380300)
神山 智美 富山大学, 学術研究部社会科学系, 教授 (00611617)
田中 良弘 立命館大学, 法学部, 教授 (10766744)
河 錬洙 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50435989)
権 南希 関西大学, 政策創造学部, 教授 (90570440)
|
研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2019年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
|
キーワード | 漁業法政策 / 韓国 / 比較 / 国際法 / 漁業資源管理 / IUU漁業規制 / 海洋保護区 / 漁業外交 / 持続可能な漁業 / 国際比較 / 伝統的秩序の変動 / 国際規範の受容 / 国際規範 / 伝統的秩序 |
研究開始時の研究の概要 |
近年日本は、漁業に関して厳しい状況にある(国際的批判・措置の頻発、漁獲量の減少傾向、漁業就労人口の減少・高齢化等)が、韓国は異なる。ゆえに、漁業に関する国際規範の受容と伝統的秩序の変動という視点で、韓国の研究者と協力し、日本との比較で韓国の漁業法政策の構造と特徴を明らかにし、国際的な公益とされる「生態系に配慮した持続可能な漁業」の実現に照らして評価し、日本にとり有益な示唆を得る。また、両国が東アジア地域及び地球規模で持続可能な漁業の発展に資するための方途を探ると共に、日韓で漁業に係る社会科学系の学術ネットワークを構築し、将来の東アジア・環太平洋地域の学術交流に係るプラットフォーム作りに繋げる。
|
研究実績の概要 |
本研究では、研究期間に7つの作業(①基盤構築、②韓国の国内法・政策の分析、③国際規範の受容と伝統的秩序の変動プロセスの分析、④国際的な基本理念に照らした韓国の漁業法政策の評価、⑤漁業外交と国内法・政策の関係の分析、⑥日本への示唆の整理、⑦国際的な公益実現に向けた日韓両国の役割の検討)を段階的に行う。本年度は、新型コロナ感染症問題の段階的な好転を受けて対面とオンライン(OL)を駆使しつつ、一定の成果を上げた。 すなわち、下記を通じて各自の分担及び全体の協働作業を進めた。第1に、IUU(違法・無規制・無報告)漁業の規制に関して、取締、貿易規制、船員の労働条件に焦点を当て、KMIと合同で日韓比較のワークショップ(WS)と対話フォーラムを開催した(7月: OL)。第2に、日韓両国による入国制限の緩和を受け、日本側メンバー全員が初めてKMI(釜山)を訪れ、現地で合同WSを開催し、マクロの視点で資源管理と取締の法政策に関する日韓比較を行い、多くの知見を得た(1月:対面)。第3に、釜山で関係機関の訪問調査(KMI、釜慶大学海洋水産学部、韓国海洋科学技術院(KIOST)、国立水産科学院、遠洋漁船扶桑操業監視センター)、順天で海洋保護区の視察調査(順天湾国際湿地センター、現地干潟、南洞自然生態研究所長)、アンサン始華湖の海洋保護区視察、ソウルで専門家(海洋水産政策研究所長)と意見交換を行った(1月)。貴重な資料・データの収集、専門的知見の獲得、人的ネットワークの構築を実現した。第4に、韓国の法律家と討議のフォーラム(3月:OL)を開催し、韓国の法体系における水産法制の位置づけにつき有益な知見を得た。最後に、以上の韓国側との協働を効果的なものとするため、事前学習(比較軸として日本の法政策の検討も含む。)・事後検証を目的に、日本側メンバーの全体会合を行った(7月・12月・3月:OL)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、国際規範の受容による国内の伝統的秩序の変動という視点で、日本との比較において韓国の漁業法政策について実証分析して日本にとって有益な示唆を得ることを目的とする研究である。韓国の政府系研究機関(KMI: Korea Maritime Institute)との国際共同研究として、日本側メンバーが韓国に赴き、KMIの共同研究者と協働(合同セミナー・ワークショップの開催、韓国の関係機関のヒヤリング調査、地域漁業に関するフィールド調査等)して研究を遂行することを本旨とする。しかし、研究初年度の日韓関係の急激な悪化を理由にKMIの側による合同企画開催の自粛に加え、新型コロナ感染症の蔓延問題による日韓両国の入国規制措置により、対面での合同企画、韓国関係機関の訪問調査、現地フィールド調査を、ほぼ約3年間実施できなかった。その代わりに、KMIによる合同企画自粛の解除後は、オンラインによる合同企画(セミナー、ワークショップ、オンラインカフェ)を実施し、積極的な活動を通じた遅れの挽回をめざしてきた。そして、本年度後半になりようやく韓国側の入国制限措置が緩和され、1月にはメンバー全員で韓国を訪問し、KMIとの合同企画や関係機関訪問、現地調査などを対面で実施できることになった。とはいえ、韓国に渡航できなかった過去約3年間の研究計画の実施の遅れを取り戻すには至っていない。そのため、本研究の進捗は遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度ようやく実現した韓国の共同研究機関(KMI: Korea Maritime Institute)への対面の訪問による円滑な協働作業と韓国における現地調査に基づく実証分析作業について、遅れを取り戻すべく、1)日本側では各自の分担に従い文献調査を進め、得た知見を定期的に持ち寄り議論して深堀作業を続け(日本側の勉強会を3回程度)、2)本年度拡張した韓国内のネットワークを各自が活用し、各自が自身の分担について韓国への渡航を伴う現地調査・資料収集などを行い、各自の作業を進めるとともに、3)KMI及びKMIの紹介による韓国の専門家のオンライン・セミナーを複数回実施することにより、韓国の最新情報の入手と専門家との意見交換を経て、さらなる知見の集積に努めつつ、4)KMIが本務による視察などで日本を訪れる機会をできる限りとらえて、韓国の漁業法政策の最新動向について日韓比較の観点から情報収集・意見交換・議論するために活用して、協働作業を推進し(夏頃)、5)KMIと事前に詰めた準備を行ったうえで(夏頃)、本年度内に日本側メンバーがグループで韓国を訪問し、KMIとの合同企画、現地調査、関係機関の訪問などを実施し(秋~冬頃)、研究を加速させる。
|