研究課題/領域番号 |
19KK0072
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分14:プラズマ学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
千徳 靖彦 大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (10322653)
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研究分担者 |
城崎 知至 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (10397680)
岩田 夏弥 大阪大学, 高等共創研究院, 准教授 (70814086)
佐野 孝好 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (80362606)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 高強度レーザー / プラズマ物理 / プラズマシミュレーション / 高強度レーザー光 / 高エネルギー密度科学 |
研究開始時の研究の概要 |
米国・ドイツ・フランス・日本の国際共同研究により、非平衡輻射プラズマ粒子シミュレーションコードPICLSを開発する。研究代表者と各テーマを担当する分担者が相手先機関に直接出向き研究することが、本プロジェクトの中核を成す活動である。そしてPICLSコード開発を加速度的に進める。PICLSコードを活用し、最先端の強い光が作り出す非平衡プラズマの物性研究を学術目的とし、イオン加速・核融合反応・X線輻射・強磁場生成などの機能を引き出す。さらに大学院生・若手研究者を育成することで、PICLSコードの開発・運用を中心にした持続可能な国際ネットワーク環境を整備していくことが本国際共同研究の目的である。
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研究実績の概要 |
本研究は米国・欧州の研究者と国際共同研究を展開し、最先端レーザー光であるペタワットレーザーによる光エネルギー密度プラズマの形成過程とプラズマの内容する機能の解明を目指す。新たな物理モデル等を開発しプラズマ粒子シミュレーションコードPICLSに組み込み、実験と理論によりモデルを検証する。さらに大学院生をプロジェクト参加させることで、コード開発の知識の習得、また、国際共同研究の進め方などを経験させることで、持続可能な国際ネットワーク環境を構築していくことが本研究の目的である。 当該年度は、コロナ禍の中進めてきた定期的なオンライン会議を継続するとともに、年度後半はコロナ感染状況に配慮して、米国物理学会などへの参加した。現地で、対面により物理モデルの改善方法やシミュレーション結果の解釈などの議論を深化させた。また、今後の論文化に向けた戦略などを策定した。 一方で、昨年度の共同研究の成果を論文としてまとめ、特に、超高密度プラズマ中の熱伝導モデルについてはドイツHZDR(T. Cowan, T. Kluge)・Euro XFEL(M. Nakatsutsumi)との国際共著論文として、また、高強度レーザーによる固体加熱のダイナミクスの検証については米国ネバダ大学リノ校(H. Sawada)との国際共著論文として発表した。また、高強度場レーザープラズマ相互作用において重要となる電子・陽電子対生成過程のモデル構築を進め、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校(A. Arefiev)との共著論文としてまとめ投稿し審査を受けている。 さらに、米国ローレンスリバモア研究所においては、共同研究者等(S. Wilks, A. Kemp)とともに岩田夏弥(分担者:阪大・准教授)がPIとして提案した実験が採択され、世界最大のレーザー光による実験が2023年度に予定されており、コードの検証を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年10月のプロジェクト開始以来、共同研究により開発したPICLSコードによる研究成果を、10本の学術論文としている。当該年度は、(1)ドイツロッセンドル フ研究所T. Kluge博士等との共同研究「Warm Dense Matterの電気伝導率の計測」に関して、Physical Review Researchに発表。(2) ネバダ大学澤田准教授等との共同研究「高強度 レーザー光による等積加熱の高速計測」はReview of Scientific Instrumentsに発表。(3)「高密度プラズマ中の高速熱伝導モデル」はPhysical Review Eに発表した。この論文は、2022年3月に学位取得した東直樹(現在:北大助教)が筆頭著者である。(4)「高強度場における電子・陽電子対生成」に関しては、2023年3月に学位取得した杉本馨(現在:学進PD)が筆頭著者で論文をまとめ、現在、Physical Review Lettersに投稿中で審査を受けている。このように本プロジェクトにおいて学生の学位取得を支援している。(5)「イオン加速の物理モデル」に関して、岩田夏弥准教授(分担者)がPIとして米国リバモア研の世界最大のレーザーを用い実験提案が採択されており、2023年度夏に実験を行いデータを取得しコードの検証を予定している。以上のように、研究成果が順調に国際共著論文として発表されている。オンラインツールを効率的に活用できたことで、コロナ禍以前よりもむしろ緊密に共同研究の展開ができた。海外渡航も可能となってきているので、最終年度は積極的に現地での共同研究を展開し、学生にインターナショナルな環境を経験させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本プロジェクトの最終年度となる。コロナ禍は国際共同研究を行う上で厳しい状況であったが、その中でもオンライン会議を気軽に行う環境が整ったため、コロナ禍以前よりも頻繁に研究議論ができるようになった。今後も積極的にオンライン環境を活用し、米国・仏国・ドイツの海外共同研究先との緊密な連携を進める。現在進めているメゾスケール(ピコ秒超の相互作用)のシミュレーションのエネルギー保存の新スキームを完了し、最新のPICLSコードによるレーザー核融合(高速点火方式)の高速爆縮コア加熱の計算を行い、高利得なレーザー核融合をデザインする。海外渡航が可能な状況となったので、欧州物理学会、米国物理学会、IFSA(国際レーザー核融合会議)、IAEA-FEC(国際核融合会議)などで本プロジェクトの成果を報告し、研究グループとしての国際的なプレゼンスを示す。国際会議には学生を参加させ、彼ら自身のネットワーク構築を支援する。
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