研究課題/領域番号 |
19KK0076
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岡部 信広 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (00436073)
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研究分担者 |
宮崎 聡 国立天文台, ハワイ観測所, 教授 (20290885)
田中 賢幸 国立天文台, ハワイ観測所, 准教授 (50589207)
大栗 真宗 千葉大学, 先進科学センター, 教授 (60598572)
樋口 祐一 近畿大学, 理工学部, 研究員 (60770815)
鳥羽 儀樹 国立天文台, ハワイ観測所, 特任助教 (40825957)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 観測的宇宙論 / 銀河団 / 弱い重力レンズ効果 / 光学撮像観測 / X線観測 / 活動銀河核 / 弱い重力レンズ / 光学測光観測 / 宇宙物理(実験) / 相対論・重力(実験) |
研究開始時の研究の概要 |
eROSITA の X 線観測、HSC-SSP による光学測光観測と弱い重力レンズ質量の観測量を組み合わせ、宇宙論パラメータへの制限を目指す。解析のステージごとに3段階に分け、効率良いコラボレーションを行う。第1ステージは、eROSITAやHSC-SSPが発見した銀河団に対してフラックスなどのX線観測量や弱い重力レンズ質量の測定などをそれぞれ独立に行う。第2ステージは、互いの観測量をそれぞれ組み合わせ、質量とX線観測量の相関を調べるジョイント解析を行う。第3ステージは、第2ステージ得られた研究結果をもとに銀河団の質量関数による宇宙論研究を行い、ダークエネルギーの状態方程式に制限を与える。
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研究実績の概要 |
X線全天サーベイeROSITAで発見されたX線銀河団や活動銀河核(AGN)のX観測量とすばる望遠鏡HSCサーベイの光学測光観測の観測量(弱い重力レンズ質量や銀河測光観測)の比較を行なっている。研究遂行のため月1回の定期的なミーティングを行っている。
最初の半年(eRASS1と呼ぶ。最終計画では4年の観測、ロシアウクライナ侵攻により2年ちょっとで観測が中断している)のデータに対して、弱い重力レンズに関する論文と宇宙論の論文を投稿し、現在査読中である。論文のいくつかはarXiv(2024arXiv240208455G,2024arXiv240208456K,2024arXiv240208458G,2024arXiv240208459A)で見られるが、本報告書に関する論文一覧は来年度載せる予定である。 これらの主たる研究成果として、銀河団の質量関数を使って宇宙論物質密度パラメータOmega_m=0.29と密度ゆらぎパラメータsigma8=0.88を得た。それぞれの測定誤差は0.02程度である。密度ゆらぎパラメータは近傍宇宙の観測結果よりも値が大きく、宇宙マイクロ波背景放射による初期宇宙観測の結果と一致している。またニュートリノの総質量は0.08または0.12の値を得た。ここで値の違いはニュートリノ質量階層性に依存する。また、ダークエネルギーの状態方程式パラメータはw=-1.12\pm0.12とアインシュタインの宇宙項と矛盾しない。
また、最終的深さに到達する初期観測領域であるeROSITA Final Equatorial Depth Survey (eFEDS)領域のAGNに関する多波長研究についての論文を3本発表した。AGNのホスト銀河の特性を明らかにするだけでなく光学サーベイで見逃された電波を発するクェーサーの不明瞭な対応天体を発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主にオンラインミィーティングやメールでの議論を通じて研究を行っている。宇宙論に関する論文を投稿した。 ロシアによるウクライナ進行によるX線サーベイは現在も中断しており、最初の2年間のeRASS4までのデータが揃っている。科研費有効期間ではeRASS4までのデータ解析までが現実的である。
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今後の研究の推進方策 |
eRASS1の個々の銀河団に対する弱い重力レンズ質量測定に関する論文を投稿する。現在のところすばる望遠鏡HSCのみでしか個々の質量の測定はできない。また、eRASS1銀河団銀河のうち一番明るい銀河と質量の関係に関する論文とeFEDS領域ですばる望遠鏡で発見された銀河団(CAMIRA銀河団)のX線スタッキング解析に関する論文を執筆投稿する。
eRASS4の研究に向けて、準備を始める。 必要に応じて適切なメンバーがドイツや日本に1から2ヶ月ほどの長期滞在をする。
コロナウィルスによる弊害のため、本科研費採択期間の大半で長期の滞在が困難であった。そのため、科研費延長を申請し来年度も同研究を遂行する予定である。
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