研究課題/領域番号 |
19KK0087
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
高垣 直尚 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (00554221)
|
研究分担者 |
鈴木 直弥 近畿大学, 理工学部, 教授 (40422985)
松田 景吾 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(地球情報科学技術センター), 副主任研究員 (50633880)
大西 領 東京工業大学, 学術国際情報センター, 准教授 (30414361)
小森 悟 同志社大学, 研究開発推進機構, 研究員 (60127082)
|
研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 台風 / 風波 / 運動量輸送 / 熱輸送 / 乱流輸送 |
研究開始時の研究の概要 |
台風など暴風下における海水面を通しての熱・運動量輸送機構を明らかにし,信頼性の高い輸送モデルを構築することは,台風の強度を正確に見積もるうえで極めて重要である.そこで本研究では,台風シミュレーション水槽を保有するロシアの海外共同研究者と協力し,高風速状態における海水面の砕波機構,および,砕波層を通しての熱・運動量輸送機構を解明し,台風下の強烈な砕波を伴う海水面を通しての熱・運動量輸送モデルを新たに構築することを目的とする.さらに,本モデルが台風強度予測に及ぼす効果について気象予測モデルを用いて検証を行う.
|
研究実績の概要 |
台風など暴風下における海水面を通しての熱・運動量輸送機構を明らかにし,信頼性の高い輸送モデルを構築することは,台風の強度を正確に見積もるうえで極めて重要である.本研究では,台風シミュレーション水槽を保有するロシアの海外共同研究者と協力し,高風速状態における海水面を通しての熱・運動量輸送モデルを構築するために,砕波機構および砕波層を通しての熱・運動量輸送機構を解明することを目的とする.本年度は,主に(1)九州大学応用力学研究所の大型風波水槽にて運動量フラックスの測定精度の向上を試みた.(2)近畿大学設置の小型風波水槽において高風速域における風波乱流場の再現実験を行った.1の結果,レーザー変位計および4連水位計を用いた運動量収支法による運動量フラックスの測定精度を大幅に改善した.また2においては,1で確立された高精度の運動量収支法を用いて,高風速域において破砕した水面波を伴う気液乱流場における運動量フラックスの測定を試みたものの,風速鉛直分布の異常を検知した.追加的検証を実施した結果,整流胴内の破損が発見されたため,整流胴修理を行った.2023年度には,九州大学応用力学研究所の大型風波水槽および近畿大学の小型風波水槽を使用して,圧力・水位のフェッチ依存性の課題を解決し,改良された運動量収支法を用いて運動量フラックスの高精度測定を進める予定である.これらの研究実績の一部は,国内学会にて報告された.また,COVID19状況が改善している場合には2022年中にはロシア渡航を行い,現地にて本研究プロジェクトに関する打ち合わせ及び現地での共同実験を行う予定であった.しかし,このロシア渡航は国際情勢の変化のため中止した.以上より,2022年度は国際情勢の影響を多分に受けたものの,2022年度の研究は概ね想定通りに進展した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は,台風下の水面を通しての熱・運動量輸送機構を解明するために,ロシアにおける実験研究・九州大学における実験研究・近畿大学における実験研究の3つの実験研究を進める予定であった.研究1については,新型コロナウィルス感染症(COVID19)状況が改善している場合には2022年度中にもロシア渡航を行い,ロシア・応用物理研究所所有の台風シミュレーション水槽での気流分布や風波形状などの基礎データの共同取得を行う予定であった.しかし,国際情勢を鑑みてロシア渡航を中止した.研究2については,九州大学応用力学研究所の大型風波水槽にて運動量フラックスの測定精度の向上を試みた.その結果,運動量収支法による運動量フラックスの測定精度を大幅に改善した.研究3については,近畿大学水槽においても測定精度の向上を試みた.高精度の運動量収支法を用いて,高風速域において破砕した水面波を伴う気液乱流場における運動量フラックスの測定を行ったものの,風速鉛直分布の異常が検知された.追加的検証を実施した結果,整流胴内の破損が発見されたため,整流胴修理を行った.研究2の成果の一部は,国内学会にて発表された.特に,日本混相流学会では,本科研費にかかわる環境流体工学研究の成果を含め,その他の流体工学研究成果とともに,招待講演が行われた.以上より,2022年度は装置の故障・COVID19・国際情勢の影響を多分に受けたものの,計画変更を伴い,研究は概ね良好に進展した.
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度には,特にロシアにおける実験研究・近畿大学における実験研究の2つの研究を推進する予定である.研究1においては,2021年度以前から予定していたロシア渡航を,新型コロナウィルス感染症(COVID19)状況を含む国際情勢が改善している場合には2023年度後半に実施し,ロシア・応用物理研究所所有の台風シミュレーション水槽において気流分布や風波形状などの基礎データの取得を行う予定である.研究2においては,2022年度に整流胴修理が行われた近畿大学の小型風波水槽を使用して,2022年度に高精度化された運動量収支法を用いて運動量フラックスの高精度測定を進める.測定された運動量フラックスは,京都大学・九州大学・ロシアの風波水槽における値などとの比較解析を行う.なお,研究1,2に関しては,COVID19および国際情勢の影響により国内・国際出張が難しい可能性がある.このような場合にも,ロシア人共同研究者と各国の実験データをベースとし,オンライン打ち合わせなどを通じて,新たな学術論文のための討論を行う.また,近畿大学の水槽の利用をより強力に促進する.
|