研究課題/領域番号 |
19KK0094
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 (2020-2022) 九州大学 (2019) |
研究代表者 |
野口 高明 京都大学, 理学研究科, 教授 (40222195)
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研究分担者 |
三宅 亮 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10324609)
松本 徹 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (80750455)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | リュウグウ / 宇宙風化 / 初期分析 / 砂の物質分析班 / 小惑星 / 走査透過電子顕微鏡 / X線吸収端微細構造 / はやぶさ2 / FIB-SEM / FIB / TEM |
研究開始時の研究の概要 |
小惑星リュウグウ試料の分析班の,微小粒子の岩石鉱物学的研究を行うサブチームとして,大きさ50ミクロン程度より小さい試料について国際共同研究を行う。九州大学と京都大学において,微小粒子の形状・微細表面組織の観察,および,(S)TEMおよびSTXM-XANES分析を行うための試料加工をおよそ80試料について行う。これらの試料のうち60試料は九州大学と京都大学以外の研究機関での分析に供する。その他機関のおよそ6割は,米国・英国・ドイツ・フランスの研究機関である。本研究では,これらの機関に日本から試料を持って行きリュウグウ試料の国際共同研究を行う。
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研究実績の概要 |
本年度は5月末まで,小惑星リュウグウ試料の初期分析国際チームのひとつである「砂の物質分析班」の班長として,班の研究の統括を行うと共に,班長として小惑星リュウグウの宇宙風化組織の論文を作成投稿した。この論文はNature Astronomy誌にA dehydrated space weathered skin cloaking the hydrated interior of Ryugu. Nat. Astron. 7, 170-181.として掲載された。 上記論文は砂の物質分析班としての最初の論文であり,その論文が受理された2022年10月からは,第2弾初期成果論文の投稿についてチーム内で議論を行った。一部論文については,班をまたぐ論文の検討も行った。その結果,海外4名,国内2名の班員も論文が砂の物質分析班の論文として投稿された。でに,国際誌に2本掲載されている。この国際共同研究強化(B)のおかげで,コロナ禍にもかかわらず多数の試料を海外に送り届けることができて,国際共同研究は大いに成功したと言えよう。6月中に国内外の班員から試料が私宛に返却され,私と共同研究者の松本氏の2名で200近い試料を整理して,JAXAに返却することができた。 また,2022年8月にUKのGlasgowで開催された85th Meteoritical Society Annual Meetingにおいては,研究代表者の野口と研究分担者の松本が本研究費を使って出席することができたため,初期分析は終了した後ではあったが,海外の研究期間に所属する班員との交流及び,上記のNature Astronomy誌以降の出版計画について打合せを行うことができた。また,各班員の研究室の大学院生とも研究上の意見交換をすることができ,非常に有意義であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の研究期間はコロナ禍と完全に被ってしまったため,当初案のように試料を研究期間に直接持って行って研究することはかなわなかったが,多数の試料を京都大学で加工して国際貨物で無事に送ることができ,研究も滞りなく進めることができたという点で,当初予定通り順調に研究は進展したと言える。 ただ,初期分析で配付された試料は非常に少量ではあったが,砂粒サイズの試料を一つずつ分析していたため,半分近くは未観察で返却していた。これを再度借りだして研究を行うことを計画したが,このような試料はすぐには貸し出されず第2回目の国際公募分析対象試料となったため,再配布は予想よりも遅くまだ始まったばかりである。また,ミリメートルサイズの試料も数個第1回の国際公募分析で配布されたが,初期成果論文の作成が最優先であったため,受け取ることができたのは12月末になってしまった。このため,1年間の研究期間の延長を申し出て認められた。このため,追加的な分析が遅れているため,全体としては,概ね順調に進展と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,初期分析では全く分析できなかったミリメートルサイズの第1回国際公募分析試料について,走査電子顕微鏡・放射光・EPMA分析を中心とした鉱物学的研究を行う予定である。また,第2回国際公募分析試料として戻ってきた砂状の試料の分析を続け,必要に応じて,初期分析の同じ班以外の研究者とも共同研究を行う。すでに一部試料については,マックスプランク研究所の研究者に分析の依頼を行い分析を行ってもらった。初期分析で班員になっていただいていた,フランスの研究機関の研究者とも,適切な試料を見つけた場合共同研究を行うことは相談済である。これらの研究を行うことが今年度の予定である。
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