研究課題/領域番号 |
19KK0148
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田野井 慶太朗 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (90361576)
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研究分担者 |
小林 奈通子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (60708345)
杉田 亮平 名古屋大学, アイソトープ総合センター, 講師 (60724747)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 放射性トレーサー / マグネシウム / ナトリウム / 植物 / イオン / 放射性同位体 / 蛍光寿命イメージング法 / 微小イオン電極測定装置 / ラジオアイソトープ利用 / イオン輸送解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、植物がイオン環境の変化を検知し迅速に対応するメカニズムには細胞質内イオン濃度の変動が直接的に関わっているとの仮説を立て、これを国際共同研究において検証する。従来から、イオンの欠乏や過剰に応じた細胞内シグナリングにおいては、細胞質内イオン濃度変化を起点とするモデルが想定されている。しかしながら、実際に細胞質内イオン濃度変化とイオン吸収速度変化を同組織部位で測定した例はほとんどなく、イオン環境を検知する分子は不明である。本研究では、迅速な環境応答の一つである根のイオン吸収活性を把握しながら細胞質内イオン濃度の情報を得ることで、植物のイオン環境検知メカニズムの解明にせまる。
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研究実績の概要 |
最終年度、マグネシウムイオン輸送の解析については、植物体内のマグネシウム濃度を調べるための蛍光プローブについて、一過的発現系により核局在なものとサイトゾルを含む全体に発現させたものの2つを準備することができた。この時培地のマグネシウム濃度の変化に合わせて細胞内マグネシウム濃度変化も観察することができた。加えて、野生型株間でマグネシウム濃度が異なる品種間差について、QTL-seqに続く詳細なマッピングを行った結果、おおよそ4遺伝子まで候補を絞ることに成功した。 また、最終年度のナトリウムイオン輸送の解析については、放射性同位体ナトリウム22を用いることで、植物の根において根端のみならず根の成熟領域でも広くナトリウムが排出されていること、また排出を担う輸送タンパク質はSOS1であることを明らかにした。その際、葉から根へと師管を利用してrecirculationされるナトリウムのほとんどすべてが、SOS1によって根の成熟領域から根圏へと排出されることが明らかとなった。シロイヌナズナにはSOS1を利用した極めて高いNa排出機構が備わっていることが明らかとなった。SOS1の発現場所については蛍光タンパク質および免疫染色で確認を進めているが、従来多数報告されている「細胞膜」以外の細胞内小器官に存在する量がむしろ多いことが示されているなど、SOS1研究の新しい局面を発見することができた。この局在については予想外のことであり、次に取り組むべき大きな課題となった。 研究期間全体を通じ、マグネシウム、ナトリウムともに、放射性同位体を用いた解析手法の幅が広げることができた。さらには、当初の目的である、微小電極法や蛍光プローブを用いた相補的解析も狙いどおり進めることができた。特に、マグネシウムについては蛍光プローブの開発、ナトリウムについては微小電極法による解析を進めることができた。
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