研究課題/領域番号 |
19KK0156
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田尾 龍太郎 京都大学, 農学研究科, 教授 (10211997)
|
研究分担者 |
澤田 玲子 京都大学, 農学研究科, 研究員 (20713043)
西山 総一郎 京都大学, 農学研究科, 助教 (50827566)
山根 久代 京都大学, 農学研究科, 准教授 (80335306)
|
研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 果樹 / 園芸 / 嗜好性 / 栽培化 / 倍数体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,USDAの保有する多様なサザンハイブッシュブルーベリーの遺伝資源を活用し,高品質品種の開発を加速化するための基盤整備を行う.認知科学の手法を取り入れ,嗜好・分析型の官能評価試験を実施し,高品質果実生産のための品種育成に活用する.また,ゲノムワイドな解析によりサザンハイブッシュブルーベリーの育種成立過程を解明する.さらに果実の生化学的特性に基づいてゲノム多型と嗜好性要因を紐付けする.ゲノムワイドな解析は,開花期など暖地栽培に関連する農業形質の解明にも適用する.以上より,日本独自の高品質ブルーベリー育成のための育種体系を確立し,消費者を指向する暖地適応型ブルーベリー育種に応用する.
|
研究実績の概要 |
本研究は,アメリカ農務省(USDA)のSouthern Horticultural Research Unit(SHRU)のBabiker研究員と行う5年間の共同研究である.研究4年目となる本年度の具体的な研究成果は以下の通りである. 本研究でジェノタイピングした南部HB遺伝資源について,これまで3年間にわたって、USDA-SHRUの環境における5種の果実形質(果実重、糖度、pH、硬度、アントシアニン含量)をBabiker研究員と共同で調査した.得られたデータを統合し,ゲノムワイドアソシエーション解析を行ったところ,いくつかのピークが得られたが、複数年で共通したピークは得られなかった.また、四倍体ブルーベリーの花粉において一細胞ゲノム解析を行い、ブルーベリーの花粉を用いた四分子分析が可能であることを明らかにした. これまでにブルーベリー34品種について,京都大学の20~30代の男女のべ90名を対象にgLMS法による嗜好・分析型官能評価を実施した.各品種において,果実硬度,果実弾力,糖酸度,香気成分を測定し,代謝物データとした.本研究で得た日本人消費者を対象にした試験結果と,同様な方法でアメリカ人消費者を対象にした試験結果を比較した.両結果とも,ブルーベリーの好き嫌いには甘味強度が大きな影響を与える点は一致していた.しかしながら,酸味強度が好き嫌いに与える影響は異なった.すなわちアメリカ人消費者は酸味が少ないブルーベリーを好む傾向だったが,日本人消費者のなかには酸味が強いブルーベリーを好む傾向をもつ消費者が一定数みとめられた.この結果は日本人に特徴的なブルーベリー嗜好性を意味する可能性がある.今後のブルーベリー育種戦略に対して有用な知見を与えるものである.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染症蔓延の影響で,未だ海外出張が制限される状況下にあって,オンライン会議を最大限活用して,さらにメールでの連絡を頻繁に行うなどの工夫することで,本研究の最終目標である日本独自の高品質ブルーベリー育成のための最適経路をもたらす育種方針とマーカー育種体系を確立するために必要なサザンハイブッシュブルーベリーの成立過程に関する知見を得つつある.,また消費者嗜好型育種に向けた嗜好・分析型の官能評価試験もこれまでの結果を検討した上で,さらに改良した試験を行い,文献データとの比較を行うことができたので,おおむね順調に研究は進んでいると判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は,新型コロナ感染症の影響を強く受けたために,現地で予定していた研究が行えず,研究計画の変更を余儀なくされた.一方で,オンライン会議と頻繁なメール連絡を行うなどの工夫を重ねることで,日本側研究者が現地に赴くことなく,米国側研究者であるBabiker博士が実験を遂行して得た結果と情報を共有することで一定の成果を得ることに成功した.本年度も,オンライン会議などを通じて,研究の詳細について打ち合わせをしていくことで,研究を推進していく予定にしているが,状況によって,現地での研究も遂行する予定である.これまでと同様に,既に得ている結果については,早期にとりまとめて論文投稿していく.ブルーベリー果実に対する嗜好・分析型官能評価調査:分析型評価についても,これまでの試験結果を検証した上で,論文発表に向けた準備を進める.
|