研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
日本住血吸虫症はアジアの農村や漁村で流行し、家畜動物から中間宿主貝を介してヒトへの感染も成立することから、保健衛生および家畜衛生と密接に関連した顧みられない人獣共通感染症となっている。日本住血吸虫症の排除(elimination)を達成するには、寄生虫のライフサイクルを俯瞰的に把握する必要がある。本研究では、島嶼国フィリピンの多様な寄生虫ライフサイクル全体を対象としたマイクロサテライト(STR)マーカーによる多座位の遺伝子型(MLG)解析解析から、各宿主を嗜好して適応した寄生虫集団の存在を証明してその遺伝的特性(マーカー型)を明らかにする。同時にマーカーと患者での病態との関係も明らかにする。
単一寄生虫卵からDNAを調整するため、現行のミラシジウム孵化法を改良した。レイテ州の集落を対象に、2022年及び2023年に2回の調査を行った。患者及びスイギュウから寄生虫卵を採取し、マイクロサテライトマーカーによる多座位の遺伝子型解析を行ったところ、これら集落に分布する寄生虫間での遺伝子流動が観察され、人獣間での生活環と人や家畜の移動が示唆された。アジア大陸部で流行するメコン住血吸虫症の調査研究において必要になる血清診断法を検討した。組換体タンパク質(rSmekTPx-1)を抗原とするELISAを検証したところ、一部のタイ肝吸虫症患者血清との交差反応を示すも、良好な感度及び特異性が得られた。
日本住血吸虫の集団構造解析に使用する単一寄生虫卵由来のDNAサンプルを調整するため、現行のミラシジウム孵化法(MTA)に改良を加えたプロトコールを確立した。MHTの改良法を日本住血吸虫症の対策に導入することで、流行地での寄生虫の集団構造解析が可能になる。また、メコン住血吸虫症の調査研究において必要になる、血清診断法(酵素抗体法:ELISA)のプロトコールを検討した。組換体抗原を用いるELISAは、抗原の大量供給と品質管理が容易なことから、大規模調査への応用が期待できる。これらの手法の導入により、アジア型住血吸虫症の監視と排除に向けた寄生虫病対策の更なる進展が期待できる。
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