研究課題/領域番号 |
19KK0208
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
佐藤 隆 信州大学, 先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所, 特任教授 (70510436)
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研究分担者 |
下里 剛士 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (00467200)
荻田 佑 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (50738010)
重盛 駿 信州大学, 先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所, 助教(特定雇用) (90803487)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2019年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 遺伝子組換え乳酸菌 / 肺がん / 経気道治療 / 免疫チェックポイント阻害 / 生物資源医薬 / 経気道的標的治療 / 肺癌 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、気道粘膜免疫を標的とする「微生物由来合成核酸の経気道治療の研究」と、「有用微生物である乳酸菌由来高分子・抗体医薬の経気道治療の研究」成果を基盤とし、免疫チェックポイント阻害作用を有する乳酸菌による肺癌発癌・進展予防効果を検証する内容である。本研究は、早期の臨床試験への導出を目的として、癌研究と治療開発で世界最先端の米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターとの国際共同研究として計画した。申請者が所属する信州大学の乳酸菌研究のエキスパートと若手研究者の参画に加えて、国際的に高い信頼と臨床導出の実績がある癌専門研究機関の参画により、早期に次世代治療として確立を目指す内容である。
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研究実績の概要 |
本研究は、免疫チェックポイント阻害乳酸菌の経気道投与による肺癌発癌・進展予防効果を検証する国際共同研究である。これまでの研究成果により、各種の免疫チェックポイント阻害乳酸菌による免疫チェックポイント阻害物質の生理活性を確認し、同所性移植肺がんモデルや転移性肺腫瘍モデルに対する経気道治療の生存延長効果を実証した。 これまでに作成した免疫チェックポイント阻害乳酸菌として、1)Programmed cell death (PD)- 1 阻害作用を有する低分子一本鎖可変抗体フラグメント(single chain variable fragment:scFv)、2)PD-1のリガンドに対する阻害抗体PD-L1scFv、さらに3)Cytotoxic T-Lymphocyte-associated protein (CTLA)-4scFv産生組換え乳酸菌を構築し、それぞれ生理活性を確認した。 2022年度は、このうちのPD-L1scFv産生乳酸菌に着目し、体内動態を可視化する目的で構築した緑色蛍光蛋白(GFP)を共発現する組換え乳酸菌(recombinant GFP-PD-L1scFv)の論文報告を行った(Namai F、Sumiya S、et al. AMB Express 2023;13:4)。また、PD-L1scFv産生乳酸菌の経気道投与の最適化検証を進めた結果、致死的なルイス肺がん細胞株の同所性移植肺癌モデルでは、コントロール群の生存率0%に対して47%の生存率が示され有意な生存延長効果が示された。黒色腫細胞を用いた転移性肺腫瘍モデルでも、経気道治療により62.5%の生存率が得られ、同様に生存延長効果が実証された。いずれも、2023年5月ならびに7月開催の国際学会(米国胸部疾患学会ならびに欧州微生物学会連合)で報告予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度も新型コロナウイルス感染症のまん延により、共同研究機関との人的交流に制限があり、自然発癌モデルの検証が十分にすすまなかった。渡航制限に加えて当初計画よりも渡航費用ならびに現地滞在費用負担が重くなった要素がある。しかしながら、国内で施行可能な検証に注力したことで、免疫チェックポイント阻害乳酸菌の経気道的肺癌免疫治療の概念は確立しえたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題においては、自然発癌モデルを用いた発癌予防の検証が十分に行えていない。研究期間を1年延長し、国際学会でこれまでの研究成果を発信することで、国際共同研究としての継続性と臨床応用に向けた発展性を追求することが本研究の最終課題である。今後は、国内外の共同研究機関を複数展開してリスク分散を行うこと。発癌予防の最適化検証には十分な時間をかけながら、経気道治療の実証結果を踏まえた応用展開に注力し、臨床応用に長けた研究機関との連携を図り推進する。
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