研究課題/領域番号 |
19KK0229
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
原田 高幸 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 参事研究員 (90345306)
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研究分担者 |
野呂 隆彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00349606)
中野 匡 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90217795)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2019年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 緑内障 / 神経栄養因子 / 遺伝子治療 / 眼内インプラント / Spermidine |
研究開始時の研究の概要 |
緑内障は我が国で最大の失明原因であるが、現状では眼圧を低下させる点眼薬の使用や手術以外には治療法がない。一方、神経栄養因子の産生細胞をデバイス内に封入し、眼内に留置することによって視機能を改善するという画期的な治療法が米国で検討されている。そこで本研究では同治療法の開発者と共同研究を行い、日本における導入を目標に検討を行う。
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研究実績の概要 |
緑内障を含む失明を引き起こす難治性網膜変性症に対する治療法は確立していないが、近年では神経栄養因子の産生細胞をデバイス内に封入し、眼内に留置することによって視機能を改善するという治療法が米国で検討されている。しかし日本国内への輸入や臨床試験には道筋が立っていない。そこで本研究ではこの治療法を主導する Jeffrey L Goldberg教授(Stanford大学眼科)との国際共同研究によってその効果や安全性を検討し、将来の日米共同臨床治験に道をつけることを目標とする。 我々は脳由来神経栄養因子(BDNF)の高親和性受容体であるTropomyosin receptor kinase Bの細胞内領域のみを細胞膜に強制発現させるアデノ随伴ウイルスベクター(AAV-iTrkB)の有効性を発表した。AAV-iTrkBベクターは一度だけの眼球内投与により、BDNFの投与無しに、網膜神経節細胞における細胞内シグナルを活性化することに成功した。また緑内障のいずれの疾患モデルマウスにおいても神経保護効果を促進し、緑内障の進行を抑制した。さらに視神経外傷モデルにおいては、視神経軸索が視交叉に到達するほどの強力な再生効果が確認された。 以上からAAV-iTrkBベクターを用いた遺伝子治療が、緑内障を含む網膜変性疾患の進行抑制や、外傷後の視機能回復に寄与する可能性が示された(Molecular Therapy, 2023)。さらにAtypical guanine exchange factorの1つであるDOCK3を過剰発現するマウスの解析結果から、DOCK3が視神経軸索の再生を促進することも報告している(Namekata et al. PNAS, 2010; J Neurosci, 2012)。そこで今回は40万以上の化合物からDOCK3を活性化する化合物のスクリーニングを行った。その結果、2つの化合物において有意な視神経軸索の再生効果を認め、緑内障治療に活用できる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により、共同研究機関(Stanford大学)等への訪問が難しい状況であり、また米国治験の遅れから本来使用を予定していたインプラントの入手が不可能となっているため。ただし頻繁にweb meetingを行っており、意思の疎通は取れているほか、共同研究者を2023年に東京で開催された日本緑内障学会の特別講演者として招待し、国内での対面meetingを行った。また研究期間を延長し、2024年度にはStanford大学への訪問を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
米国治験で使用している物と同一のインプラントの入手が不可能になったことから、代替品の購入や作製ができないか、検討を行っている。一方で視神経再生療法についてはマウスにおいて良好な成果を得ていることから(Nishijima et al. Molecular Therapy, 2023; Namekata et al. Cell Death Discovery, 2023)、引き続きマーモセットの視神経外傷モデルを用いた治療研究を積極的に進める。
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