研究課題/領域番号 |
19KK0230
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
阪井 丘芳 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (90379082)
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研究分担者 |
井階 一樹 大阪大学, 大学院歯学研究科, 特任研究員 (00849432)
田中 信和 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (20570295)
皆木 瞳 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特別研究員(RPD) (70754810)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2019年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 唾液腺 / 臓器再生 |
研究開始時の研究の概要 |
頭頸部がんに対する放射線治療は、手術や抗がん剤と同様に有効な治療手段の一つであるが、健常な組織が照射領域に含まれると障害を受けてしまう。唾液や涙液の分泌に関わる唾液腺や涙腺が損傷されると、摂食嚥下機能や視覚機能に障害を生じる。さらに皮膚や粘膜が損傷されると、皮膚炎、粘膜炎、脱毛などを生じ、著しいQOLの低下を招くことになる。本研究は、研究代表者や研究分担者が米国Rochester大学やNIH等の研究機関に出向いたり、海外共同研究者と日本国内の研究室を活用しながら、米国FDAが承認した既存薬の中から臓器再生に有効な薬剤を見出し、放射線治療時に生じる障害を抑制する方法を確立するものである。
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研究実績の概要 |
本国際共同研究の目的は、唾液腺細胞の増殖と発生機構に注目して、放射線による組織の障害を軽減できる薬剤、放射線障害から組織再生を誘導できる薬剤を探索し、臨床応用を目指すことである。細胞増殖活性を高め臓器形成を誘導する薬剤を網羅的に探索することと、放射線照射を用いて投与薬剤の障害抑制効果を判定する予定である。将来的には、唾液腺で得られた知見を活用し、肺・腎臓・乳腺・涙腺などの他臓器の再生医療に発展させることを目標としている。臓器の損傷・修復機構を解明するために、マウス唾液腺の損傷・修復モデルを作成した。唾液腺損傷後の組織を解析し、修復過程を詳細に観察し、指標となる組織を見出そうと探索してきた。 【損傷・修復モデルの観察】放射線照射後の成体マウス唾液腺の変化を観察する。照射距離、照射範囲、照射量を検討し、継時的に組織を採取し、損傷後に修復する過程を組織学的に観察してきた。 【細胞増殖・臓器形成を誘導する薬剤のスクリーニング】FDA承認済み化合物や薬理活性が判明した化合物、米国で臨床試験まで到達した化合物等を用いて薬剤のスクリーニング検査を行っている。成体マウス唾液腺細胞と培養細胞株、胎生13日目の唾液腺を培養する。培養後、細胞や組織を採取し、total RNAを抽出後、定量的real-time PCRを用いて、細胞周期に関係するCiclinD1の活性化、細胞増殖、アポトーシスを解析している。薬剤の作用メカニズムを考慮しながら、候補薬剤をさらに絞り込んでおり、継続している。 【放射線照射に対する薬剤の障害抑制効果の判定~胎仔唾液腺~】放射線照射装置(MX-80 Labo, MediXtech社)を用いて、器官培養中の胎仔唾液腺に放射線 4Gyを照射する。照射2日後に腺房が強い障害を受け、細胞増殖が抑制され、腺房上皮細胞間の空隙が大きくなる。器官培養前に選択薬剤を添加し、障害抑制効果を形態学的に検証している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Dr.Ovittらのグループとそれぞれの研究施設の実験手技の確認や放射線照射機器の条件設定について綿密な打合せをするために、ニューヨーク州のロチェスター大学で合同会議の準備を進めていた。しかしながら、新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大により、ニューヨーク州への研究チームの移動は困難であった。ウェブ会議を併用しながら、合同会議と現地での合同実験の準備を進めており、諸外国との国際連携を高めながら、研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
臓器の損傷・修復機構を解明するために、唾液腺の導管結紮や放射線照射を行い、マウス唾液腺の損傷・修復モデルを作成した。唾液腺損傷後の組織を解析し、修復過程を詳細に観察し、指標となる組織を決定しようと結果を解析している。 FDA承認済み化合物や薬理活性が判明した化合物、米国で臨床試験まで到達した化合物等を用いて、成体マウス唾液腺細胞(応募者が新しく樹立)と培養細胞株、胎生13日目の唾液腺を培養することによって、薬剤のスクリーニング検査を並行して実施した。 培養後、細胞や組織を採取し、total RNAを抽出後、定量的real-time PCRを用いて、細胞周期に関係するCiclinD1の活性化、細胞増殖(EdU)、アポトーシス(TUNEL)を解析している。分化に関するERK1/2、AKTのリン酸化、阻害剤を用いてシグナル伝達機構を解析している。唾液分泌能を評価するために、Ca 流入を測定する。薬剤の作用メカニズムを考慮しながら、候補薬剤をさらに絞り込んでいる。放射線照射装置を用いて、器官培養中の胎仔唾液腺に放射線 4Gyを照射する。照射2日後に腺房が強い障害を受け、細胞増殖が抑制され、腺房上皮細胞間の空隙が大きくなる。器官培養前に選択薬剤を添加し、障害抑制効果を形態学的に検証する。
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