研究課題/領域番号 |
19KK0242
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
大松 勉 東京農工大学, 農学部, 准教授 (60455392)
|
研究分担者 |
久和 茂 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任教授 (30177943)
加藤 健太郎 東北大学, 農学研究科, 教授 (30401178)
宇根 ユミ 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (40160303)
藤井 ひかる 岡山理科大学, 獣医学部, 助教 (10734444)
松山 亮太 酪農学園大学, 獣医学群, 講師 (00780008)
|
研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2020年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | コウモリ / 疫学調査 / フィリピン / Pteropine Orthoreovirus / クリプトスポリジウム / 疫学解析 / ウイルス / 細菌 / 寄生虫 / 遺伝子 / 抗体 / リスク分析 / 網羅的解析 / 病理解析 / 感染症 / 疫学 / 数理モデル |
研究開始時の研究の概要 |
地球温暖化に伴う動物の生息域の変化により、感染症のリスク分布も徐々に変化している。翼手目(コウモリ)はエボラウイルスやニパウイルスなどの重要感染症の自然宿主としても注目されており、様々な病原体のレゼルボアとして高いリスクを持つ。また、コウモリは多様な生態や分布域の広さ、移動距離の長さ等の特徴も持つ。このようなコウモリの生態的特徴が感染症の拡大に影響を及ぼす可能性は否定できない。本研究では、多様なコウモリが生息するフィリピンで病原体の網羅的な疫学調査を行うと共に、生態情報に基づくレゼルボアとしてのリスク分析を行い、コウモリ由来感染症の温暖化に伴う拡大リスクのモデル構築を試みる。
|
研究実績の概要 |
2023年度はフィリピン・ルソン島中西部にあるPalauigにて捕獲調査を実施し、9種66頭を捕獲した。今回捕獲したサンプルに関しては現在解析を進めている。今年度は2023年3月に採取した10種94頭について、口腔スワブ及び肛門/腸管スワブを対象にヒトに呼吸器疾患を引き起こすPteropine Orthoreovirus(PRV)の保有状況についてRT-qPCR法を用いて解析した。その結果、ココウモリ7種8頭からはウイルス遺伝子は検出されず、オオコウモリ3種68頭からはRousettus ampleicaudatusのみからウイルス遺伝子が検出された。同時に、腸管及び肛門/腸管スワブを対象にクリプトスポリジウムの保有状況についてPCR法を用いた解析を行った結果、1頭からのみ遺伝子が検出された。 次に、2019年度から2023年度にかけてフィリピン・ルソン島の4地点(A, B, C, D)で捕獲したコウモリ25種432頭から採取したサンプルから検出されたPRV及びクリプトスポリジウムの保有状況について比較したところ、PRVは2022年10月に実施したC地点及び2023年3月に実施したD地点のみで陽性個体が確認され、クリプトスポリジウムについては2020年2月に実施したA地点で10頭陽性、その他の地点では1頭のみと各病原体の陽性率に変動が確認された。 さらに、PRVの遺伝子保有率については性別、年齢(成獣または幼獣)、メスの場合の妊娠状況等との相関を解析した。その結果、幼獣でのPRV保有率が高かった。また、4地点で実施した調査でのPRV保有率が異なっており、保有率の変動に影響を及ぼす因子の同定に向けて継続的な調査の必要背が明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度から2023年度にかけて、フィリピンに生息するコウモリ総計569頭からサンプルを採取することに成功し、ウイルスや寄生虫などの保有率を明らかにすることができ、特にウイルス保有率については幼獣で高いことを明らかにすることができており、おおむね順調に進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、コウモリ由来感染症のリスク分析に必要な情報の収集を進めると共に、病原体保有率の変動に影響を与える因子の同定を試みるため、2024年度はこれまでに捕獲調査を行った地点を対象にこれまでとは異なる時期での調査を実施し、季節の影響について評価することを予定している。具体的には2019年度から2023年度に調査を実施したルソン島中部の4地点での再調査を実施する。対象とする病原体については、これまでと同様、ウイルスや寄生虫等の遺伝子解析を行うと共に、ELISAを用いた抗体調査も実施を予定している。
|