研究課題/領域番号 |
19KK0287
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60030:統計科学関連
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研究機関 | 法政大学 (2021-2023) 南山大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
阿部 俊弘 法政大学, 経済学部, 教授 (70580570)
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研究期間 (年度) |
2020 – 2024
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,210千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 3,510千円)
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キーワード | 国際共同研究 / シリンダーモデル / 方向統計学 / シリンダー分布 / 歪対称分布族 / 円周分布 / 統計的推測理論 / シリンダーデータ / 角度データ / 歪対称モデル / 統計モデリング / EMアルゴリズム / 角度統計 / 生態学 / 推測理論 / データ解析 |
研究開始時の研究の概要 |
国際的に活躍している研究者らと協力して、角度統計に表れる困難を乗り越えるための統計モデルを考案し、データの背後に潜む現象の解明の定量化を目指す。 主に以下の内容を研究していく。 (1)WeiSSVMモデル(Abe & Ley, 2017)を数学的に一般化し、応用の際に新たな発見が可能となる統計モデルの理論的研究を進める。 (2)WeiSSVMモデルと既存のモデルの改良をしながら、北欧の樹木データに基づいて森林施業にともなう植物多様性の劣化機構とその地理変異を解明する。 (3)(1)と(2)を基にして応用面で必要となる計算統計的手法を構築し、シリンダーモデルを基にしたアルゴリズムの洗練をする。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、非対称な角度モデルやシリンダーモデルの提案やそれらのための推測理論の展開を行い、基礎理論の強化を遂げた。滞在先の研究ネットワークを駆使し、複数国の共同研究者とも研究を行うことができた。まず、t分布と円周分布を組み合わせたシリンダーモデルについて日々ディスカッションを行い新たなシリンダーモデルを考案した。当初はそのモードの位置が問題となったが、滞在中のディスカッションでその問題を解決する変換を発見し、よりデータに当てはまりの良いシリンダーモデルを見つけることができた。また、GIGモデルを基盤とした新しいタイプのシリンダーモデルの開発も行い、その周辺分布や条件付き分布について調査を行った。より具体的には、GIG分布と既存の円周モデルとの組み合わせについて計算を進め、それについてディスカッションをすることにより、より良いシリンダーモデルを見つけることができた。これにより、研究の新たな地平を開くことができた。これらの研究を進めている一方、別の研究者らとのディスカッションにより、時系列データに関する新しいモデリング手法についても大きな可能性が得られている。研究発表や研究論文のような直接的な実績以外にも、研究滞在により、将来的に国内の若手にもメリットのある研究活動の強固な基盤を作っていくことができた。今後は、シリンダー上の分布論とその推測理論をさらに発展させ、複雑なシステムへの応用に取り組んでいく。他にも、様々な分野との連携を通じて、日本での国際研究集会の開催や研究成果の実用化に向けた取り組みも加速させていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究滞在中の研究ディスカッションや研究交流により、様々な研究者とのネットワークの構築、新しい研究アイディアの共有等、当初想定していた以上のものが得られた。より具体的には、統計的モデリングとして、シリンダー上の統計的分布について、非常に広範なモデルを構築できた。また、数学的に非常に美しい性質を持つシリンダーモデルの導出、かなり柔軟なシリンダーモデルの開発、新しいシリンダーデータの解析の開発手法の基礎も考案できた。その他にも、通常の集中パラメータを持ったモデルのみならず、拡散パラメータを持ったモデルについても導出ができることがわかった。また、新しい推測手法についても目途が立ってきた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の角度モデルとシリンダーモデルについての研究をまとめ、さらにシリンダーデータの収集とデータ解析のために、新しいタイプのシリンダーデータの収集を行う。また、データに対する新たな視点を導入した解析手法を提案していく。これらをまとめた後、理論モデルの改善と応用:現在の数学的モデルをさらに洗練し、シリンダー上の分布をより正確に予測できるモデリングを考察する。ルクセンブルクでの研究滞在で得られた研究ネットワークを活用し、異なる視点からの知見を取り入れ、さらなる国際共同研究の強化をしていく。また、次世代の研究者を育てていくためにも、国際的なネットワーク、若手研究者や学生への指導を通じて、将来の国際研究集会を開催するための基礎を構築していく。
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